命直結の現場…金沢にいる専門医が“遠隔監視”する心リハ 4月本格導入

「(ビールを)飲む真似してください」(理学療法士)
院内にある理学療法室。リハビリテーションを受ける患者も増加傾向にあり、ここでは入院・外来あわせてに間でのべ1000人と、7~8年前と比べて倍に伸びています。しかし、リハビリにあたる理学療法士らの数は当時と変わらず、6人のまま。募集をかけても来る人が少ない、のが実情だといいます。
「人手とか非常に大変だなあと1年目からずっと思っています」(3年目の理学療法士)
子育て世代の働き手には能登特有の悩みもあるようです。
「僕も今子どもがいる。小児科が少ないので緊急時は(七尾市の)能登総合病院まで走らないといけないとなると1時間弱かかる。そう考えると育てやすい“七尾よりも南”に行きたい気持ちも…子育て世代には多いかなと」(子育て世代の理学療法士)
金沢医科大学病院を定年退職し、現在はこの病院に勤務する影近謙治医師は、金沢以南との環境の違いを指摘します。

公立穴水総合病院 影近謙治 医師
「能登は医者も少ない、当然リハビリのスタッフも少ない。そうすると1日にかけてあげる訓練の時間も少ない。ここではせいぜい20分とか40分とか…1時間はやってあげることができない。それは物理的に施行するセラピストがいないから」
影近医師が見せてくれたのは、心疾患のおそれがある患者などが心臓に負荷をかけて行う「遠隔心(しん)リハ」。

金沢医科大学病院と連携し、循環器系の専門医が遠隔で心拍数などに異常がないかリアルタイムで監視、アドバイスします。医師不足を補うため、4月から石川県内で初めて導入しました。
公立穴水総合病院 影近謙治 医師
「何もかもが揃っているような状態の病院・医療環境じゃない。復興の途中ですけど、早く戻ってほしい。そういう意味では今回の(遠隔心リハの)取り組みは地域の病院にとって非常にありがたい対応」
緊急時の対応の遅れが命に直結する医療の現場で、人手不足はまさに喫緊の課題です。