新人看護師の“離職ゼロ”へ 長期研修で“病院の垣根”越える同期の絆
石川・七尾市の公立能登総合病院。能登唯一の救命救急センターを有し、“断らない救急”を掲げるからこそ人手不足はあってはならないといいます。
「こちらの病院は能登の新人教育の中核病院として、たった今各病院から集めた新入職者の集合研修が行われています」(記者リポート)

公立能登総合病院で新人看護師の配属先が決まるのは12月、それまでは各病棟などをローテーションで経験します。長い期間、基礎を学ぶ時間を設けること、同期入職者同士の“横のつながり”を深めることが早期離職の防止につながっています。
15年前からこの新人研修を取り入れて以降、家族の事情などを除く新入職者の1年以内の離職はゼロとなっています。
「コンコンコンと、上に溜まっている薬液を下に落とします」(教育担当)
中島さんも、この集合研修に参加していました。指導を受けているのは、注射器の準備。すでに穴水病院で先輩看護師から現場で教育を受けるオンザジョブトレーニング(=OJT)で学んでいる中島さん。手慣れた手つきでこなします。
中島いまりさん
「(ふだんも)やっています。看護師不足もあって…いろんな経験を病院でさせてもらっています」
しかし次は、新人看護師にとって最初の鬼門ともいえる採血。中島さんもこの日が初めて。緊張の色を隠せません。

「針刺していきます…」
教育担当
「カチッと…きてますか?」「きてないです…あ、きました」
教育担当
「ちょっと(針を)浮かせた方が良いね」「とめます…これで終わりになります」
(一同拍手)
中島いまりさん
「手が震えました。慣れたいというか、早く患者さんにも安全にできるようになりたい」
大きな地震を経てもなお、地元で働きたいと志した今年の新人たち。若き担い手にとって働きやすい環境を整えることは能登の地域医療を未来へつなぐ第一歩です。