〇キリコの灯りをともすために
発災から7か月、町野町の復旧は今日も少しずつ進んでおります。
夏を迎え、祭りの季節が近づくにつれ、神社の被害状況を確認するなど、キリコの救出に向けて具体的な動きが出てきました。
そんななか、7月6日、町野町曽々木地区の自治会役員会において、8月17日(土)、8月18日(日)の二日間、「曽々木大祭」が規模を縮小して実施されることが決定されました。
曽々木地区は、地震による犠牲者もなく、キリコも無事であった町野町唯一の地区です。
自治会長さんのお話では、能登の伝統を守り、町野町の精神的な復興に少しでも寄与することが出来ないかと考えての決断だったといいます。
発災直後から現地に入り、継続的な支援を続けてくださっているNPO法人 阪神淡路大震災1.17希望の灯りのみなさまのご協力を得て、クラウドファンディングへの挑戦もはじまっております。
キリコは能登の伝統であり、誇りです。
7月に開催された宇出津のあばれ祭りを皮切りに、能登では非常に多くのキリコ祭が開催されます。
町野町には、地区ごとのキリコがあり、本来であれば主に秋にキリコ祭りが行われるのですが、今年は各地区のキリコが破損し、あるいは倒壊した仮宮の下敷きになるなど、救出さえままならない状況です。
町野町は過疎化から広江・鈴屋・粟蔵が合同で祭りを実施するなど、工夫を凝らしながら地域のキリコ祭を守り続けてきました。
今回の曽々木大祭は、今年唯一となる、町野町のキリコ祭りです。
その灯火を町野町に点すため、みなさまの温かいご支援を、どうかお願い致します。

MRO北陸放送では、被災地の声を集め続ける藤本さんが見つめる被災地の現状をNEWS DIGで、毎月掲載します。
藤本透
シナリオライター。アプリゲーム『ノラネコと恋の錬金術』メインシナリオライター。『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル』、『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル2』のシナリオ執筆に携わるほか、様々なジャンルでの執筆を手がける。石川県輪島市町野町出身で、石川県を舞台に描かれたアニメ「花咲くいろは」の小説版を執筆。2024年1月1日の能登半島地震発生以降、SNSを通じてふるさとの情報を日々きめ細かく発信している。