谷内さんの家族を含め13人いた従業員のうち、工場に戻って来ることができたのはわずか3人。2次避難先にいたり、道路が復旧せず通勤できないなどの理由で、8人が退職しました。

谷内さん
「戻ってきてほしい気持ちはあるけど、地震の被害状況が当然かなり違うから、簡単に戻ってきてほしいとは言えない」
工場の至るところで、地震の爪痕も残ります。さらに…。

谷内さん
「進捗としては遅い。機械の試運転をしているが実際に動かしてみたら正しく動作しなかったり故障していたりスムーズにいかない」

次なる壁にぶつかりながらも、谷内さんは、再び作り手としての道を少しずつ歩み始めました。工場を稼働させてから5時間後、谷内さんが向かったのは能登町のスーパー。
「お久しぶりです」
「大変やったやろ…嬉しい。お客さんも待っとるよ」
「頑張らんかね。笑っとかんかいね」

店頭に並ぶのは、濃度の高い国産大豆と珠洲の塩田にがりを使った、作りたての商品たち。実に3か月ぶりの光景です。
かくだスーパー・角田喜一郎社長
「地元の味ってあるんですけど、皆さん食べ慣れとるはずだから理由なしに美味しいみたいな。豆腐といえばこれやな、みたいな。また一つ日常に戻れた気がする」

谷内さん
「待ってもらえるのは嬉しいことで、それによって頑張れるところがあるので。とてもありがたい」