9日早く、伊豆諸島近海を震源とする地震があり、高知県内沿岸部に津波注意報が発表されました。土佐清水市では40cmの津波が観測されましたが、これまでに被害の情報は入っていません。

■気象庁地震火山部 下山利浩地震情報企画官
「津波を観測中です。海の中や海岸から離れてください」

9日午前5時25分ごろ、伊豆諸島の鳥島(とりしま)近海を震源とする地震があり、午前7時44分、高知県内沿岸部に津波注意報が発表されました。その後、高知県内に津波が到達。午前8時9分に土佐清水市で40cm、午前8時15分に中土佐町久礼港で20cm、午前8時17分に室戸市室戸岬で10cmの津波が観測されました。

地元消防団に所属する男性が撮影した津波の様子 (安全を確保した上で撮影)

このうち、40cmの津波を観測した土佐清水市では午前8時ごろ、港で津波とみられる波が撮影されていました。撮影したのは地元の消防団に所属する男性。「漁業関係の職場から身の安全を確保した上でカメラを回した」といい、「徐々に引き波があり、その後、うねったような波が来ていた。船などへの影響はなかった」と話していました。

■竹村総平記者
「津波注意報を受け、県庁では、担当職員が登庁し、防災作戦室で情報収集にあたっています」

津波注意報の発表に伴い、県内では香南市の沿岸部全域と、南国市、宿毛市、高知市、土佐清水市の一部地域に「避難指示」が出されました。

高知県危機管理・防災課 江口悟課長

■高知県危機管理・防災課 江口悟課長
「津波注意報が出た段階から、県の『第一配備体制・警戒体制』をとっていて、避難の呼びかけや、被害の情報などの収集を行っている。放送や消防団の方々の力を借りて、呼びかけを行っている」

清水港(高知・土佐清水市、9日午前)

県によりますと、これまでに津波による被害の報告はないということです。
津波が観測された後も
津波注意報は継続され、沿岸部では防災無線で避難指示の放送が行われたり、消防が住民に避難を呼びかけたりしましたが、正午になって津波注意報は解除されました。ただ、気象庁は「今後もしばらくは海面変動が続くと考えられ、沿岸部では十分な留意が必要だ」としています。

ところで気象庁は今回の地震について、津波の予測に欠かせない「地震の規模=マグニチュード」が分からず、「各地で潮位変化がみられてから」注意報を発表しました。

気象庁地震火山部 下山利浩地震情報企画官

■気象庁地震火山部 下山利浩地震情報企画官
「今回、地震の規模を決めることができない状況で、注意深く(各地の)検潮データ=水面の変化のデータを監視していたところ、津波に相当する潮位変化があったので『注意報』を発表した。地震活動が10月2日から続いている地域なので、今後もこういうことが起こりうるかもしれない。十分注意して監視しているし、情報に皆様も注意していただきたい」