白骨化した母親の遺体は「ゴミに埋もれていた」といいます。約4年間、母の遺体を自宅に遺棄した罪などに問われた56歳の息子は、なぜ母の死を周囲に隠し続けたのか。裁判での証言から、その理由が見えてきました。
母の遺体を“約4年”遺棄・年金など約200万円をだましとった罪に問われた息子
4月25日、手錠をかけられ、法廷に姿を現した男は、上下グレーのスウェットに身をつつんでいました。肩まで伸びた髪の毛はところどころに白髪が混じり、少しかすれた声だけを聞くと、“初老のおじいさん”のような印象を受けました。
高知県に住む、無職の男(56)。2019年1月ごろから2022年12月まで、死亡した母親(72)の遺体を自宅で遺棄した罪と、母親に支給される年金・給付金約200万円を不正受給して、だまし取った罪に問われています。2023年3月の初公判では「間違いありません」と、起訴内容を認めていました。
男が、約4年にわたって、自宅に母の遺体を放置し続けた背景には、いったい何があったのでしょうか。
唯一の収入源は“母の年金”
検察の冒頭陳述によりますと、男は20代前半(22歳~23歳ころ)の時に県外へ出ましたが、2012年ごろに東洋町に戻り、自宅で母との2人暮らしを始めました。
当初は仕事をしていましたが、2016年ごろには仕事を辞め、翌2017年ごろから、母の年金で暮らすようになりました。
2人の唯一の収入源は母の年金。2か月に1度、年金が母に入る度、男は母から金を貰って生活費に充て、母・息子とも「互いに干渉しない」生活を送っていました。
しかし、母が自宅でゴミを散らかすようになるなど、認知症のような症状がみられ始めたといいます。やがて母は寝たきりの状態になってしまいました。そして…