「紀州のドン・ファン」と呼ばれた資産家男性の不審死をめぐり、殺人などの罪に問われたものの、1審で無罪判決を言い渡された元妻(29)。判決から1年を経て、12月8日に控訴審第1回公判が大阪高裁で開かれます。

 直接的な証拠がない中、状況証拠を積み上げて立証を目指した検察側の主張は、1審では退けられました。2審でどのような法廷戦略を展開するのかが注目されます。

覚醒剤の密売人との接触、異様な検索履歴 検察は「殺人事件で、犯人は須藤被告」と主張も…

 「紀州のドン・ファン」と呼ばれた資産家・野﨑幸助さん(当時77)は、2018年5月に田辺市の自宅で死亡しました。死因は、覚醒剤を口から摂取したことによる急性覚醒剤中毒でした。

 野﨑さんの死亡をめぐり、元妻の須藤早貴被告(29)が、野﨑さんに致死量の覚醒剤を何らかの方法で経口摂取させ殺害したとして、殺人などの罪で逮捕・起訴されました。

 1審の裁判で検察側は、▽野﨑さんが死亡する約1か月半前に、須藤被告が覚醒剤の密売人と接触していた点や、▽「完全犯罪」「老人 死亡」「覚醒剤 過剰摂取」「覚醒剤 死亡」「遺産相続 専門家」など、覚醒剤や犯罪、遺産相続をめぐる多くの検索履歴が確認された点 ▽死亡当日に野﨑さんが覚醒剤を摂取した可能性がある時間帯に、須藤被告が何度も1階と(野﨑さんがいる)2階を往復した点 などを指摘。

 野﨑さん死亡は殺人事件であり、犯人は須藤被告以外にありえないと訴えました。