からふるでは今週、未来の地球、未来の子どもたちのためにできることを様々な角度からお伝えしています。60年以上前に作られ高知県内で最初に導入されたロードローラーや、コスト削減などに貢献するドローン測量。進化する土木の世界についてです。
ところどころ錆びた車体に、かすかににじむオイル。丸いライトが愛らしくも見えるこちらの車両は高知市の尾崎建設が保有する高知県で最初に導入されたロードローラーです。製造は1959年。後輪の直径は1メートル32センチあり、重さは8トン以上あるということです。

当時は道路の工事で地面に敷いた砕いた石を締め固めるために使われていたそうですが、現在、当時を知っているのは会長の尾﨑盛裕さん、68歳ただ一人となっています。

(尾崎建設 尾﨑盛裕 会長)
「基本の形は一緒ですけど、やっぱり全体的に古い鉄の塊という感じで、今のはもっとモダンな、運転席にしても、これはもう原型というか…」

60年以上前の車両ということもあり、今となっては当たり前の装備もついていません。
(尾崎建設 尾﨑盛裕 会長)
「昔、パワーステアリングって無かったじゃないですか、むちゃくちゃ一生懸命(ハンドルを)回してましたね。それは覚えています。ただ重たい、ひいひい言って、昔は曲芸の世界でしたね」
現代のロードローラーにはパワーステアリングが装備されていて、作業の効率性などが向上しているということです。この車両は尾崎建設で1985年度まで稼働していましたが、旧式化を理由に引退。その後は高知市の倉庫で人知れず眠っていましたが、2025年5月、再び日の目を見ることになります。尾崎建設は広報を目的にロードローラーの動画をSNSに投稿。すると、その動画は3万回以上視聴され、昔を懐かしむ声など様々なコメントが寄せられました。

(尾崎建設 尾﨑盛裕 会長)
「うれしいですね、言うたらクラシックカーですわ」
土木の現場から離れた半世紀以上前のロードローラー。しかし今はSNSという新たな舞台に活躍の場を変えて、土木のPRという面で業界に貢献しています。
(尾崎建設 尾﨑盛裕 会長)
「建設業は本当になくてはならない仕事ですけど、人が入らない、役所も民間も。古い機械がまだ残ってますよということで、大きい意味では建設業に興味を持ってもらいたい」

そして今、土木のフィールドは空へ。県内の多くの企業は測量のためドローンを導入していて、高知市に本社を置く新進建設では南国市の農地の整備工事で測量用のドローンを使用しています。機体下部のカメラで撮影し、上部のアンテナで撮影地点の座標を記録します。

ドローン測量にはドローンのほかに、発着地点となるパッドと位置情報を送るための基地局を用意。ドローンはあらかじめ決めたルートに沿って自動で飛行・撮影します。


撮影したデータを専用のソフトに落とし込むと。工事で重要となる現場の平坦さがわかるほか、別のソフトと組み合わせることで現場全体の仕上がりもわかるということです。


こちらは工事着工前の現場のデータ。田んぼの中にいくつも細い道が走っているのがわかります。

そしてこちらが最新のデータです。一つの区画が広くなり、農業の効率も上がるということです。

こういった比較も広範囲を短時間で測量できるドローン測量だからこそ、「時間」と「人員」を減らして実現することができるといいます。
(新進建設 土木部 小松和弘さん)
「従来の測量方法は機械を見る人とポールを持つ二人一組で行っております。(この現場でいうと)半日かかっていた作業がドローン測量だと数時間で処理が終わるということで大変効率的に測量ができていると思います」

また、ドローンが活躍するのは工事現場の測量だけではありません。危険な場所に立ち入らなくても調査できる安全性などから災害現場でも活躍が期待されています。

(新進建設 土木部 小松和弘さん)
「早急にドローン測量することによって災害状況を把握できますので、そちらのデータを活用して災害復旧とかには活躍できると思っています」
進化が止まらない土木の世界。人口減少が進む高知だからこそ、新しい活躍のあり方やより便利でより安全な機材の登場に大きな期待が寄せられています。













