官製談合防止法違反などの疑いで土佐清水市の市長や市議ら4人が逮捕された事件で県警は12日、4人を送検しました。市発注の工事の入札を巡っては過去に議会でも言及されていて、入札に参加した事業者は「神の声が聞こえているのか」と違和感を口にしました。
(リポート:中屋裕貴)
「午後1時過ぎ、程岡容疑者を乗せた車両が高知警察署を出ました」

送検されたのは土佐清水市長の程岡庸容疑者(66)と土佐清水市議会議員の永野裕夫容疑者(67)ら4人です。県警の調べによりますと4人は共謀。2025年5月に行われた、土佐清水市発注の「宿泊型多文化共生コミュニティ施設改修工事(電気設備)」の指名競争入札で、程岡容疑者が永野容疑者に最低制限価格を漏洩。さらに榮容疑者、小野容疑者と情報を伝え、最低制限価格の5912万円より1万円高い5913万円で小野容疑者の会社に落札させた官製談合防止法違反などの疑いが持たれています。
(リポート:尾﨑大晟)
「現在午後9時半です。市長、そして市議の逮捕を受け行われました土佐清水市役所での家宅捜索。県警の捜査員たちが庁舎から出てきました。段ボールを持って車に積み込んでいきます」

県警は、4人を逮捕した11日、午後6時すぎから3時間以上、市役所の家宅捜索を行いました。入札に関する資料や市長が使っていたタブレット、パソコンのデータなどを押収したとみられます。
ところで、市発注の工事の入札を巡ってはこれまでにも疑惑の声があがっていたことがわかりました。2025年9月の議会で、ある市議が、過去の入札で4回連続、同じ事業者が最低制限価格と同じ価格で落札していたことに言及。この際、程岡容疑者は…
(土佐清水市長 程岡庸容疑者)
「公的機関が行う入札制度は、癒着を防止し、公平公正に受注者を選ぶ役割があると認識しております。万が一にも不正が生じることは許されないことでありますので、今後も本市の公平公正な入札の執行に努めてまいりたいと思います」
土佐清水市や入札に詳しい事業者によりますと、最低制限価格は物価情報誌に掲載されている単価や複数社への見積もりをもとに設定するということです。これらは事前に公表されていて、それぞれの事業者がソフトなどを用いて計算し、入札金額を決定します。ソフトの精度によっては最低制限価格と同じ数字や近い数字になることもあるということです。ただ、議会で取り上げられた入札に参加していた事業者は、「直近の工事では市の計算方法にあいまいな部分があったにもかかわらず計算が合っていた」として土佐清水市の入札に対する違和感を口にしました。

(入札に参加していた業者)
「この値段であると僕らは材料代も取れないんですよね。こういう計算は普通あり得ないんですけどね。(Q.赤字前提)そうですね、この工事だけで言えば」
また、物価情報誌に記載のない金額が用いられていて、複雑な計算が発生する項目もあったといいます。
(入札に参加していた業者)
「1万2万とか5万10万の差まで詰めることはあるかもですけどね。僕らもパソコンで設計見積もりを作るソフトとか、何100万もするソフトとか入れてやるんですけど、ぴったりくるってことはまずありえない。設計をプロとしてやっている方に聞いたら『神の声が聞こえているとしか言いようがない』とは言ってましたね」
これについて市の担当者は、「不親切な部分があったので是正していきたいとは思うが、公表してきた単価と計算方法を用いれば最低制限価格と同じ額が出ることはあり得る」としています。
(入札に参加していた業者)
「みんな公平にできるようになったら一番じゃないですかね。じゃないともう入札とかね意味ないことですもんね。最初からジャンケンでもいいやということにもなるんで、やっぱり公平にやっていきたいですね」
県警は送検した4人の認否や漏洩の状況、方法を明らかにしていません。何かしらの見返りがあった贈収賄容疑での立件も視野に、今後、事件の全容解明を進める方針です。










