山車を激しくぶつけ合う岩手県陸前高田市の夏の風物詩、「けんか七夕祭り」が7日、行われました。地域の人口は震災後半減し、担い手不足が深刻な中で、伝統を引き継ぎ地域を盛り上げるための奮闘が続いています。

「よーい、はじめー!」

900年続くとされる陸前高田市気仙町今泉地区の「けんか七夕祭り」。迫力のある山車のぶつかり合いに観客から歓声が上がりました。

(この地区出身で千葉県在住の男性)
「家流されちゃって思い出がないんだけど、これだけは思い出があるもんで。こ
ういう風な昔からの伝統のある“けんか七夕”っていうのは全国でも珍しいもんですから、絶対残していただきたいですね。本当に地元の人に感謝しています。ありがとうございます」

今泉地区は東日本大震災による津波で大きな被害を受けました。
震災の年の8月、4台あった山車のうち奇跡的に残った1台を祭りを愛する有志で飾り付け、山車のぶつけ合いではなく引き合う形で祭りを続けました。

全国から寄せられた支援をもとに新たな山車を作り、翌年には山車をぶつけあう「けんか」を再開。

コロナ禍で規模を縮小したこともありましたが、形を変えながらも祭りを継続してきました。

今年の祭りの準備は6月12日の“アザフ”折りで始まりました。
山車を彩る和紙の飾りを折る作業で、地域住民らがコミュニティセンターに集まりました。

この日は茨城県を中心にスーパーマーケットを展開する「カスミ」の小島雅弘さんらが陸前高田を訪れ、アザフの折り方を教わりました。
震災直後から祭り当日のボランティアをはじめ、物心両面からけんか七夕を支援してきた「カスミ」ですが、人手不足を補うために祭りの準備に関わるのは今年が初めてです。

(カスミ コーポレート管理本部 小島雅弘マネージャー)
「祭り組の皆さんの困りごと、やっぱり山車の製作も大変ですというお話もありましたので、少しでもお役に立てればということで」