細い木もバイオマス燃料に

 ところで集められた木をよく見ると家具などに使えそうな立派な木もありますが建築用材としては使えそうもない細い木がほとんどです。

(柴田君也社長)
「今はバイオマス発電所の原料としてこうした質の悪い山も購入することにしています」

 柴田産業は建築用材に加え、近年増えている木質バイオマス発電所に供給するための木材チップの製造を行っています。


 また地域住民を巻き込んだり様々な補助事業を活用したりしながら伐採した山に植樹する再造林にも力を入れています。
 
 新たに植林すると若い森は成長に合わせて多くの二酸化炭素を吸収します。伐採、そして植樹の循環は木材資源の活用と二酸化炭素の固定、両方の面で有効です。
 しかし経費の観点から岩手県内で伐採後に再造林されているのはわずか3割ほど。岩手県立大学の名誉教授で県環境学習交流センターの渋谷晃太郎センター長は、地域で伐採と植樹を循環させる重要性を訴えます。

(渋谷晃太郎センター長)
「切って使ってそれを売った経費をその森に返してまた再造林していくっていう。地産地消が一番いいので。運ばなくて済むし、できるだけ県産材を使うようなことを考えなきゃいけないと思います」

 柴田産業は農業倉庫やスポーツ施設に活用できる柱のない木造大空間を地元業者が建設できる県産材のキット「ブーメランフレーム」を開発しました。柴田さんは林業をきっかけにした経済の循環にも期待しています。

(柴田産業 柴田君也社長)
「どのようにして地域の資源を生かし、お金がその地域の中に残るようなシステムを作っていくかということが非常に大事じゃないかなと思っております」

(県環境学習交流センター 渋谷晃太郎センター長)
「コンクリートと鉄って製造段階でものすごく二酸化炭素を放出してるわけですね。そういったものを木材を使ってビルを作るっていうことができるようになってきたので」

 先祖からの贈り物である森林を地域の元気に変え、未来へと繋げます。