「根尾投手」実現への道

波乱万丈と表現した根尾選手の2022年は、立浪新監督を迎えて、長きにわたった低迷から復活を期するドラゴンズにとっても大切なシーズンである。
しかし、根尾選手は“居場所”に苦しんだ。
「打てば外野手レギュラー」と言われながら、その座はひとつ後輩の岡林勇希選手に奪われた。
「守れればショート」と言われながら、なかなか内野の“要(かなめ)”たるショートにつく機会はなかった。
理由は明解、いずれも立浪監督が考えるレベルに、現状の根尾選手が達していなかったからである。
そんな厳しい現実の中でも、立浪監督は「根尾昂」を活かす道を追求し続けた。
「根尾本人ともしっかり話した」と語る立浪監督。
その結果としての「投手・根尾昂」だった。
落合語録「攻めてこそ投手」

マウンドに向かう根尾投手への声援は、今のドラゴンズ選手の中で誰よりも大きい。
場内アナウンスの瞬間にバンテリンドームは大歓声に揺れる。
まだ登板数は少ないがマウンドに立つ根尾投手はとても嬉しそうだ。
そして「絶対に抑えてやる」という気迫にあふれている。
かつて落合博満さんがドラゴンズ監督時代に語っていた言葉を思い出す。
「投手がボールを投げなければ、ゲームは始まらない。投手は守り手でなく攻め手なんだ」根尾投手には“攻め”の空気感があふれている。
2軍のマウンドで先発を経験させるという構想もあったが、立浪監督は後半戦も引き続き根尾投手を1軍ベンチに置いて、起用していくと語った。
侍ジャパンの栗山監督をして「ナイスピッチング」と言わしめた根尾投手の進化が、残りシーズンでの逆襲を誓う立浪ドラゴンズにどんな勢いをもたらすのか。
目が離せない真夏の戦いが続く。