2024年12月中旬、深夜。私は眠れずにいた。
「根尾選手って、なんて呼んだらいいんだろう。ちょっと待てよ、もうピッチャーだからそもそも根尾投手か。いやいや、硬過ぎるよなぁ。歳は3つ下なんだよなぁ。じゃあいっそアキラ君!?いや友達か!相手はプロ野球選手だし。根尾君…?根尾っち…」
私は入社5年目、普段は「サンデードラゴンズ」のディレクターをしている。根尾投手には、これまで何度もインタビューをさせてもらったことはあるが、改めて名刺を渡し、自己紹介を済ませてから頭を下げた。
「根尾さん!折り入ってお願いがあります!僕に5分ください」
12月18日、場所はナゴヤ球場。自主トレ終わりの根尾投手を直撃した。
「いいですよ!5分ですね、じゃあよーいスタート!って嘘です。なんですか?」
スマホを片手に持つ根尾投手の表情は、明るい。
「単刀直入に申します。根尾さん、密着取材をさせてください。そのお願いをしに来ました。来年が根尾さんにとって、とてつもなく大事な年になる事も、なんで今、このタイミングなのか?という事も百も承知でお願いしたいです」
「いきなりプライベートを撮らせてください、とは言いません。信頼関係を築いたうえで根尾さんに認められて、初めて撮影できると思っています。それでもとにかく、今しか撮れない根尾さんの姿を皆さんに届けたいんです。お願いします!」
根尾投手のチャームポイントである眉毛が上がる。発せられた言葉は…