【里山アセットマネージャー 阿久澤剛樹さん】「一番最初は2009年の大地の芸術祭祭。前の年がリーマンショックの年で、東京で仕事をしていていろんな意味でボロボロに疲れていた。松代の駅を降りて目の前に棚田があって、そこで完全にやられた。棚田萌えした」

里山の魅力にはまった阿久澤さんは、棚田の隣にあった築100年の古民家を再生させ農家民宿トロノキハウスを始めます。そして2020年、後継者が見つからず耕作放棄地になりかけていた儀明の棚田を引き継いだのです。

この日は阿久澤さん3年目の田植えです。田んぼ初心者だった阿久澤さんに力を貸したのが、移住者仲間や地域の棚田OB達。
【元蒲生区長 山岸雅規さん】「田んぼも何も分からなかったんだけど、本人にやろうという強い決意があった。だから我々もそこに手を貸そうと。すごい人だと思いますよ。普通一般から考えれば誰がこんな田んぼやりたいって」

棚田の収穫量は平場に比べて半分、労力は2倍かかると言われています。
芸術的な植え方ですよね?
【元蒲生区長 柳芳健さん】「いやいや年寄りはみんなこういう事やってますよ。農作業って“辛い・苦しい・汚い”だったけど、みんなが楽しい楽しいってやってるから。楽しんでやるのが一番。最後まで残るんじゃないかな」

常連の助っ人達も東京から駆けつけてくれました。
【東京から】「大地の芸術祭でよく来ていた。それではまってそこから毎年。大人になってこんな泥んこ遊びできる機会なんて無いので、すごく楽しい」
【東京から】「1年に4回位来るようにしている。毎回リフレッシュになる。オタマジャクシとか結構いて、ぴょこぴょこ泳いでいる。結構かわいいもんですね」
無農薬栽培のこの田んぼは、生き物たちの楽園です。

『身も心もボロボロだった自分を救ってくれた。山に恩返しをしたい』という阿久澤さん。
【里山アセットマネージャー 阿久澤剛樹さん】「僕ら棚田を再生している部分もあるが、同時に棚田が人を再生するっていうこともあって、なんかお互い様っていう感じがする。いろんな人がここに集まって一緒に作業して、結果的に棚田が残っていく。こういう形にできれば一番楽しいし、いいんじゃないかな」
