原子力発電所の安全性をめぐる新潟県“独自の3つの検証”のうちの一つ『健康への影響』に関する検証が取りまとめられ、健康分科会の鈴木宏座長が24日、花角知事に報告書を手渡しました。
これで3つ全ての検証が終わり、今後は柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に関する議論の行方が注目されます。

分科会では2017年から、福島第一原子力発電所の事故が住民の健康にどのような影響を与えたかを検証してきました。


鈴木座長は問題の本質について「初期対応の不十分さが、福島第一原発事故の被ばく量データなどの確認を困難にした」と述べました。

報告書では、放射線被ばくとそれに伴う甲状腺がんなどの健康リスクについてまとめられています。
その上で、事故情報の伝達の方法や事故後に生まれた子供への検査など、データの管理の確立を求めた『通常時の対応』や、避難生活で住環境が変わった高齢者らへの医療や介護支援求めた『事故発生時の緊急対応』、さらに『事故後の中長期的な対応』との3段階に分けた合わせて26の提言が盛り込まれています。

【健康分科会 鈴木宏座長】
「放射線の問題に関しては、非常に長い期間の慎重な継続する調査・対応が必要だということを申し上げたい。単なる検証だけではなく、新潟県に資するものとして、我々も議論しながら提言を付け加えた


花角知事は、県独自の『3つの検証』が終わるまで「柏崎刈羽原発の再稼働については“議論しない”」との立場を貫いています。

3つの検証結果について今後は、県の検証総括委員会に諮られる予定ですが、総括委員会の池内委員長と県との意見が食い違っているため、委員会は2年以上も開かれていないのが現状です。

関係者によると、新潟県は28日にも池内委員長と面談し、委員会の運営方法について協議するとしています。