緊急地震速報の対象にも『長周期地震動』

気象庁では2月から、緊急地震速報の対象に『長周期地震動による揺れ』を追加しました。『長周期地震動』は、高層ビルや大きな建物で大きなダメージを与える恐れがあります。

長周期地震動 4段階の『階級』

揺れの大きさは4段階の「階級」で示されます。
そのうち、立っていることが困難な「非常に大きな揺れ(階級3)」と、はわないと動くことができないような「極めて大きな揺れ(階級4)」が速報の対象となります。
過去の例では、国内で『階級3か4』が観測される頻度は、1年に1回か2回程度だということです。

緊急地震速報の対象となる『長周期地震動』は

新潟特有な地質の特徴から、この長周期地震動が県内に大きな被害をもたらす恐れがあると指摘されています。

どのような対策が求められるのでしょうか?

2011年の東日本大震災で…

【記者リポート】「新宿の35階のビルで地震を感じています」

東京都新宿区のビルでも大きな揺れが

2011年の東日本大震災。東京・新宿区の高層ビル群が揺れていました。

大阪府庁ではエレベーターに閉じ込められる人も

また、大阪市のビルの10階でも大きな揺れが。
55階建ての大阪府庁ではエレベーターの中に人が閉じ込められるなどしました。

三陸沖で発生した東日本大震災では、震源地から数百キロ離れた場所でも大きな揺れを引き起こしていました。
『長周期地震動』が高層ビルを大きく揺らしたのです。

いったい、どのような揺れなのでしょうか?

東北大学 災害科学国際研究所で『長周期地震動』を研究している、五十子幸樹教授に伺いました。

『長周期地震動』の特徴は

『長周期地震動』を研究する五十子幸樹教授

【東北大学 災害科学国際研究所 五十子幸樹教授】
「東日本大震災のように、非常にマグニチュードの大きい巨大地震の場合は、地震動の中に長周期の成分が発生しやすくなる。長周期の成分は非常に遠くまで届くんですね

地震に含まれる長周期の成分は、非常に遠くまで届く性質をもつほか、高層ビルなど高い建物を大きく揺らすのが特徴です。

なぜ、高い建物が揺れるのでしょう?

ひもを長くした振り子を高層ビルに見立てた簡単な実験です。
ひもが長い振り子は、長い周期で揺らすと揺れ幅が大きくなっていきます。

建物の揺れは、振り子を180度ひっくり返した「逆さの振り子」に近いと言われています。

長周期地震動は、「周期の一致」した高層の建物の揺れを大きくさせるのです。