【記者リポート】「大雨が襲ったのは8月4日。私はまだ半袖で取材をしていました。半年がたった今は雪が積もっています。そして今でもこちらの仮設住宅で生活をする人たちがいます」

新潟県北部を襲った豪雨から半年がたち、現地では復旧作業が進む一方で、復興への道筋が見えずに再建に悩む住民もいました。

2022年8月3日の夜遅くから4日未明にかけて県北を襲った豪雨で、村上市神林地域の小岩内集落では住宅5棟が土石流に巻き込まれました。半年経った今も集落全体に避難指示が出ていて、住民は村上市内の仮設住宅で生活をしています。


【松本安一郎さん】「自宅はもう諦めました。今はもう…行く気にもならないですわ」

松本安一郎さん(90歳)の自宅も、土石流に巻き込まれて一階に土砂が堆積。
大規模半壊の認定を受け、家族と話し合い先月に取り壊しました。

この日、一か月ぶりに集落へ向かう車内で、生まれ育ったふるさとへの気持ちを語りました。


【松本安一郎さん】「集落が帰る場所じゃなくなってしまうのは…、情けないね。なんていうか、悲しいというか…。悲しいなんて通り越して、諦め半分。集落に行っても何もないんだから、なんかよその集落に行くような感じだね…」


冬の小岩内集落には家も人の姿もなく、流木に襲われた半年前すら思い出せない程に真っ白な空間が目に映りました。


【松本安一郎さん】「まさかこんなになるとは思わなかった。何とも言えないね、一晩でこんなになったんだから…。水が入ってきたときを思い出してもぞっとする」


村上市は、小岩内集落の松本さんの家を含む住宅6軒と小屋や土蔵など、合わせて17軒を今年3月までに解体します。

復旧が進む一方で、住民には先が見えない不安が募ります。


【松本安一郎さん】「不安、ありますね。いつも不安なのは金の問題。みんな年取っているから、金借りるなんてなかなかね。貸してくれる人もいないし…」


仮設住宅で生活できるのは2年間。
進む時間の中で、復興への闘いが続いています。