「もうクヨクヨしても仕方がない」

竹下さんが、映画の中で特に印象に残っている言葉があります。
それは、時子が自分の人生に向き合う中でたどり着いた思いでもありました。

「もうクヨクヨしても仕方がない」

もちろん、悩むことも、考え続けることも、人生には必要です。
それでも、どれだけ考えても答えが出ないこともあります。

「大人になるとだんだん、一日中考えても答えの出ないことの方が多くなる。そういう時は、もう寝ようって。もうこれで考えるのはおしまい、という日も必要だなと思いました」

若くして夫を亡くし、それでも明るく生きようとした時子。
手紙を通して誰かを思い続け、自分の中に小さな秘密を抱えながら、自分の人生を生き切った女性。

竹下さんは、そんな時子の最後の姿について「思い残すことはない、自分自身を生き切ったという思いがあったのかな」と話します。

人は誰しも、簡単には言葉にできないものを抱えながら生きています。
それでも、誰かを思う時間があり、誰かに見守られていると感じられる瞬間がある。
その積み重ねが、人生に静かな陰影を与えていくのかもしれません。

映画『おばあちゃんの秘密』は、亡くなった祖母の“秘密”を通して、残された家族がもう一度、人と人とのつながりを見つめ直す物語です。

竹下さんは最後に、新潟の人たちへこう呼びかけました。

「新潟の皆様にとっては、また違う新潟の一つの景色がご覧いただけるのではないかなと思います。いろんな楽しみ方ができると思いますので、ぜひ劇場でご覧いただければと思います」

胎内川の流れと、千本桜の景色の中で描かれる、ひとりの女性の人生。
その秘密はきっと、誰かを思い続けた時間の証しでもありました。

◆映画「おばあちゃんの秘密」
6月20日からシネ・ウインド(新潟市中央区)で先行公開し、その後は全国公開の予定です。