会わなくても、支えになる人がいる

時子が手紙を交わしていた相手は、江藤潤さんが演じる道男です。

手紙のやり取りが始まってから、2人は一度も会っていません。
それでも映画を見ていると、会っていないはずの2人の間に、深い絆が生まれていることが伝わってきます。

「今の時代、新幹線に乗れば新潟と東京は何時間でもない距離です。でも、あえて距離を置くということも、お互いへの思いだったのかもしれません」

会いたい。
でも、会わない。

そこには、相手を思う気持ちだけではなく、会ってしまうことへの怖さもあったのではないかと、竹下さんは話します。

「お互いに、手紙だからものが言えるところがあったのかもしれないですね」

時子は夫の介護を経験し、夫が亡くなった後は、ひとりで生きてきました。
竹下さんは、そんな時子について「自分の生きる道を切り拓いていった人」と捉えていたと話します。

「考えてもしょうがないことは、もうクヨクヨするのをやめようと自分で決めて、明るく生きていこうとした。自分自身を生きていった人だと思いました」

それでも、人はひとりだけで強くいられるわけではありません。

物理的に近くにいなくても、誰かが自分を見ていてくれる。
見守ってくれる。
寄り添ってくれる。

その存在があるからこそ、人はまた、自分の足で歩いていけるのかもしれません。

「誰かがそばにいてくれれば、それは物理的な距離ではなくて、その人がいてくれることで、それを支えにして自分一人で生きていこうと決めた生き方ですよね」

時子にとって、道男はそんな存在だったのかもしれません。