そんな田中翠恵さんでしたが、高校に入ると自閉症とは別の障害に悩まされるようになります。

「場面緘黙症になって…。高校で新しい環境になって突然、声を出すのをやめたんですよね、治らないってずっと思っていました」

場面緘黙症(ばめんかんもくしょう)とは、緊張や不安などから、人前で話すことができなくなる障害です。
翠恵さんは、このことと向き合った日々を多くの人に知ってもらおうと、自身のイラストと言葉で“絵本”としてまとめています。

「私は、小中学校までは、日直や発表の大事な時だけ小さい声で話すことはできました。しかし、高校入試の面接で、話をすることができなくなりました…」

筆談やジェスチャーなどで自分の気持ちを伝えていた高校時代。
悪気のない周囲からの言葉が重くのしかかりました。

「周りの人達は どうして話さないのかと聞いてきました。そのことでますます 場面緘黙症の症状が酷くなりました」
「『私もみんなと仲良しになりたいな~』、昼休みはいつも思います」