「パリ五輪内定の可能性は5%ぐらいじゃね?って」

 少しおどけながらそう話す服部勇馬(30・トヨタ自動車)の表情からは確かな充実ぶりがうかがえた。

ケニアでインタビューに応える服部(2月12日) 

 服部は新潟県十日町市出身のマラソンアスリートで、2021年東京五輪の日本代表だ。自己ベストは2018年福岡国際マラソン優勝時の2時間7分27秒で、当時日本歴代8位だった。その後さらに服部が注目されたのは、2019年9月に開催されたマラソングランドチャンピオンシップ(以下、MGC)。五輪代表3人のうち上位2人を代表内定とする一発勝負の選考会だ。そこで服部は2位でフィニッシュした。後に東京五輪で6位入賞した大迫傑(ナイキ)との壮絶なデッドヒートを制した末の栄冠だった。しかし、念願叶い出場した東京五輪で服部は惨敗を喫した。

 あれから2年半-。

 夏にはパリ五輪だ。マラソン代表3人うち2人は、MGC(2023年10月)で小山直城(ホンダ)、赤﨑暁(九電工)がすでに内定している。残り1枠は、福岡国際(同年12月3日)・大阪(2月25日)・東京(3月3日)の3つのマラソンで2時間5分50秒以内を記録した日本人最上位選手のうち、最も記録の良い選手が内定を得る。該当選手がいない場合は、MGC3位の大迫傑が内定となる。

 福岡国際マラソンと大阪マラソンでは、2時間5分50秒以内で走った選手はいなかった。俄然、五輪へのラストチャレンジとなる3月3日の東京マラソンが注目される。