これまで日本人で2時間5分50秒以内を記録したのは、現日本記録保持者の鈴木健吾(富士通・自己ベスト2時間4分56秒)、東京五輪6位で前日本記録保持者の大迫傑(同2時間5分29秒)の2人しかいない。
3月3日の東京マラソンには、その鈴木健吾に加え、日本歴代3位の山下一貴(三菱重工・同2時間5分51秒)、4位の其田健也(JR東日本・同2時間5分59秒)、さらにリオ・東京五輪2大会連続金メダルの絶対王者エリウド・キプチョゲ(ケニア・同2時間1分9秒)も出場予定。ハイレベルな戦いは必至だ。服部もこの東京マラソンに出場する予定で、自身最高の走りを目指すことになる。
2月12日、服部にオンラインでおよそ30分間インタビューをし、東京五輪からこれまでと、東京マラソンへの決意を聞いた。

服部は、単身で東アフリカ・ケニアに渡り、マラソントレーニングを積んでいた。
Q ケニアでの練習は充実していますか?
「ケニアには1月8日に来て、けがもなく順調にトレーニングできています。ケニアの高地の環境にも慣れてきました。標高2000mから2400mぐらいのところで生活しているので、最初は頭が痛くなったり、練習についていけなかったりしました。平地とは違う環境だったので苦しかったですが、ケニアでトレーニングを始めて、1、2週間するとだいぶ環境にも慣れてきて、今は良いトレーニングができています。」
Q ケニアのどんな場所に滞在しているのですか?
「ナイロビ(首都)から車で30~40分のところにあるゴングという街で、そこは標高2000mです。昨日までいたのがニャフルルという街で、標高2400mですね。」
東洋大学時代には箱根駅伝で総合優勝。“箱根のスター”は社会人となりオリンピアンに…。華やかな経歴の服部だが、それとは裏腹に、彼のマラソン人生は苦しみの連続だ。東京五輪が新型コロナウイルス禍で延期になった後、出場を予定していた福岡国際マラソン(2020年12月)は、右ふくらはぎを痛め欠場。MGC以来約2年ぶりとなった東京五輪(2021年8月)では失速し73位だった。そのレース中に重度の熱中症を発症していたとわかり、五輪後も血液検査の数値が良くない時期が続いた。ハーフマラソンでは自己ベストを更新(2022年2月)するものの、膝や臀(でん)部の痛みなどで思うような練習を積めない時期が多かったという。