Q プラハマラソン(2023年5月)の後はどう過ごしていましたか?
「プラハが終わってからは両股関節の疲労骨折で3ヶ月走れず、8月から走り始めました。痛みについては『ちょっとまだ気になるな』なんて思いながら走り始めたんですけど、ちょうどそのタイミング、9月にケニアに初めて来ました。」
Q ケニアに来た理由は何ですか?
「世界一のマラソン大国であるケニアって、どんなところなんだろうという思いがきっかけです。ケニアに来る前のマラソントレーニングは、自分の中ではもう確立されたものがありましたが、一方でそれをぶち壊したいという思いもありました。ブラッシュアップすればそれなりには走れるのですが、ここから先、マラソンで2時間4分、5分台を目指す上で、これまでの練習をずっとブラッシュアップし続けたとしても、果たして目標に届くのかと自問自答がありました。それならば、もう一度自分自身で練習方法を作り上げていく必要があると思いました。マラソン大国であるケニアに一度行ってみて、自分自身が何を感じるのかを、素直に現地で見たいと思いました。ケニアに来てからは、日々の練習がうまくすんなり繋がって、調子が上がっていきました。そこからはずっとけがもなく順調にトレーニングできてます。」
Q 実際にケニアに来て、練習環境の印象はどうでしたか?
「練習環境というより、ケニアに来る前は生活環境に、正直ものすごく不安や戸惑いがありました。生活環境や治安はどうなんだろうという部分です。ただ、ケニアの人々はすごく優しくてオープンで、明るく接してくれるので、人と人との関わり合いはすごくいいなと感じています。食生活の部分では、日本食は食べられないですけど、こっちの食べ物に順応できているし、一緒に練習させてもらってるビタン・カロキ選手(33・トヨタ自動車・ケニア出身)の奥様が料理作ってくださいます。とても美味しくて、全然困らず食べられています。日本食はもちろん恋しいですが(笑)」
ビダン・カロキはトヨタ自動車所属。ロンドン・リオ五輪1万メートルのケニア代表で、2大会連続の入賞を果たした。カロキは服部が尊敬するランナーで、旧知の同僚だ。マラソンの自己ベストは2時間5分53秒、まさに服部が目指すレベルのタイムだ。服部はカロキを頼り、2023年9月にもケニアに約3週間渡っていた。東京マラソンへのトレーニングを本格化させるための準備がここから始まっていた。

Q 1回目のケニア滞在がしっくり来たのですか?
「プラハマラソン(2023年5月)が終わってからは、自分がパリ五輪に出場するには、2時間5分50秒を切るしかなくなってしまったので、ファイナルチャレンジ(五輪代表選考対象レースの福岡国際マラソン・大阪マラソン・東京マラソンの3レース)のために、年明けからケニアに行きたい思いはずっと持っていました。そのためには、いきなり年明けから行っても、環境も何もわからないままでは練習にならないので、佐藤さん(トヨタ自動車の佐藤敏信総監督)とも相談して、一度下見で環境をしっかり見て、勝負をかけるのは1月だという思いで、まず9月にケニアに来ました。」