「本当に(日本とは)環境が全然違う」臓器提供が広がらない日本

佐藤葵ちゃんの父・昭一郎さん
「ドナーが現れるということは亡くなる方もいるということなので複雑な気持ちはありますが、ドナーの現れる頻度というか同じ病院に入院していた子も1か月以内に3人が移植していく状況で、本当に(日本とは)環境が全然違うことを実感しました」

なぜ日本は臓器提供が広がらないのでしょうか。脳死状態での臓器提供ができるようになったのは「臓器移植法」が施行された1997年です。『脳死』は脳全体の働きが失われ治療で回復する可能性がなくなり心停止に向かう状態です。厚生労働省は命を救う現場で医師が患者の家族に対して『脳死』状態での臓器提供という選択肢を示しにくい側面もあるとみています。昭一郎さんは国が主導してのルールの整備が必要だと考えています。

佐藤葵ちゃんの父・昭一郎さん
「トップダウンでルールを整備してく方がいいのかなというところで、たとえば脳死の患者には必ずドナーとして提供する意思があるかの確認を必ずしていくだけでもドナー数は変わるだろうという思いはあります」

佐藤葵ちゃんの母・清香さん
「アメリカの病院の先生がおっしゃっていたのは最大7つの臓器で人の命を救えるヒーローなんですと言っていて、移植医療のイメージがいろいろあると思いますがすごくいい言葉だと思った」

心臓移植から2か月あまり。葵ちゃんは入院中はかなわなかった家族との時間を過ごしています。順調に経過すれば早ければ年内に日本へ帰国できる見通しです。

佐藤葵ちゃんの父・昭一郎さん
「本当に多くの皆さんの支援・協力のおかげでこうしてここ(アメリカ)に来られているので感謝の気持ちを毎日感じています。本当にありがとうございます。薬を一生飲み続けなければいけないが生きられる時間をより良いものにするために家族で一生懸命できることをやっていきたい」

日本臓器移植ネットワークに登録して病気の回復のために移植を待っている患者は現在も約1万5000人います。臓器提供をする・しないに正解はありません。葵ちゃんの両親は自分たちのことを知ることで臓器提供・移植について1人でも多くの人が考えるきっかけになることを願っています。