青森県むつ市の中学生たちが下北地域の歴史を取り入れたオリジナルの演劇に挑戦しました。国の重要文化財=東通村の尻屋埼灯台の建設に斗南藩士が関わっていたという歴史を多くの人に伝えたい思いが込められています。
10月12日、むつ市のむつ中学校では生徒13人が演劇の稽古に打ち込んでいました。題材はむつ市や下北地域に戊辰戦争後に移り住んだ斗南藩士たちが尻屋埼灯台建設への関わりを描いた「証」。オリジナルの作品です。
台本を制作したむつ中学校・木村萌香教諭
「灯台の建設に斗南藩士が関わっていることを知って、自分も知らない歴史でしたので、ぜひ生徒たちに伝えたいと思って題材に取り上げた」
生徒たちもその歴史を伝えたいたと熱がこもります。
むつ中学校3年・濱田真心さん
「下北・会津の歴史、白虎隊のことを伝えるために頑張って演劇したいと思います」
斗南藩は戊辰戦争に敗れて領地を没収された会津藩が興した藩で1871年にむつ市に移住。下北地域を中心に領地を治め、尻屋埼灯台の建設に関わったとされています。灯台のレンガは現在のむつ市大畑町正津川地区で作られていたと伝えられていて、斗南藩士の子孫である松本友則さんの自宅の庭などで見つかった粘土の成分と灯台のれんがの成分を調べたところ同じ土壌のものが使われた可能性が高いことがわかっています。
生徒たちは自分たちが住む地域のこうした歴史や背景を多くの人に伝えるため、文化祭で演劇を披露。会場にはこの取り組みを聞いた斗南藩士の子や孫たちで作る「斗南會津会」のメンバーや会津藩で筆頭家老を勤めていた北原家15代目の北原秀光さんも訪れ、生徒たちの熱演に見入っていました。
北原家15代目・北原秀光さん
「先祖代々伝わってきていることとかそういうのが重なってきて、子どもたち1人1人がそのものに見えました」
むつ中学校3年・濱田真心さん
「白虎隊という名前は知っていたけど何をしたかといった歴史はよくわからなかったので知れてよかった」
斗南藩の人たちがこの地に生きていた「証」を知ってもらいたい。演劇には生徒たちの思いが込められていました。