毎年春に美しく咲き誇る桜。皆さんのお住まいの地域にもお気に入りの花見スポットや桜並木があると思います。来年の開花に向けてまさに夏の今、花芽がつくられていますが、青森県五所川原市では100年以上親しまれた桜並木が姿を消そうとしています。


※リポート 今野七海 記者
「こちらの桜並木は老朽化で現在伐採が進んでいます。」


五所川原市金木町の国道339号沿いにあるソメイヨシノは19本のうち17本の伐採が7月17日に始まりました。100年以上前から市民に親しまれ、春の訪れるを告げる大きな役割を果たしてきました。発端となったのは今年5月に市役所に寄せられた要望です。「サクラの木が危険なので確認してほしい」これを受けて市に代わって県が調査した結果、幹の空洞化や腐敗が見つかって倒木の危険性が高いことがわかりました。


この通りは通学路ということもあり、安全を守るために伐採が決まりました。依頼を受けた業者が木を切ってみると幹の中には発泡スチロールが詰まっていて過去に治療を施したような痕がありました。


※伐採を担当 今与建設 今俊順代表
「私も金木町の住民なので非常に切るのは寂しいですけれども、切ってみると腐食がよく見られるのでやむを得ないのかなと思う。」


日本の桜の代表といえばソメイヨシノ。全国各地で毎年可憐に咲き誇り、多くの人を魅了します。木としての寿命は手入れをしなかった場合、一般的に70年から80年ほどといわれ、花が咲かなくなったり枯れたりします。弘前公園の“チーム桜守”のように不要な枝を切って「せん定」したり、肥料を与えたりしていると若返らせることも可能です。しかし、そうした行き届いた手入れが施されている所は少なく、戦後、1950年代から60年代に植えられた全国のソメイヨシノの木が同じような問題に直面し伐採や植え替えがされています。

桜並木が姿を消すことに街の人は…。


※街の人は
「家が近くなので伐採されると聞いてとても寂しいです」
「学校に来るとき毎日通っているから結構見てきていて思い出がある」
「きれいなサクラを見たいから危険ではない場所に植えてみたい」
「名残惜しいかな。いつもここにきれいなピンクの桜が舞っているとね」


近くでカフェを営んでいる栄利有夏さんは、この桜並木が中学時代の通学路だったといいます。

※赤い屋根の喫茶店駅舎 栄利有夏さん
「友達たちと会話しながら木の下を通って通ったんですよね。伐採はちょっとショックでしたね。古くなっているのはわかっているので。でもちょっと寂しいですよね」

五所川原市金木町で長年、観光振興に携わってきた角田 周さんは、急な伐採に戸惑いつつも桜の名所・芦野公園を含めこの辺り一帯のソメイヨシノを守っていきたいと決意を新たにしています。


※青森県観光カリスマ 角田 周さん
「この場所ではなくて向こう側のソメイヨシノもとてもいいので、そちらの方など、これから守っていく。ぼくらも何かお手伝いさせていただけるようなことを考えていかなければならない」


伐採作業は20日で終わる見込みで、100年以上続いた桜並木は惜しまれながら姿を消します。

五所川原市では、新たに桜を植えたいと考えていますが、具体的な場所や時期の見通しはたっていないということです。また、県樹木医会によりますと県内では年老いたソメイヨシノを年間10万本ほど若い木に植え替えしているということです。