手際よく作業をしているのは五戸町で畳を扱っている店の八代目店主・中村渉(なかむら・わたる)さんです。職人として技術を継承するだけではなく、新たな商品の開発にも積極的に取り組んでいます。その中村さん、かつてはプロ野球選手で投手としてマウンドにも立ちました。異色の経歴を持つ畳職人とその思いをお伝えします。

2004年の北海道日本ハムファイターズの新人選手入団会見。

プロ野球・日ハム入団会見で抱負を語る中村さん (2004年)

※中村渉さん(当時25歳) 2004年12月
「ヒーローインタビューの際にはぜひ南部弁で思いっきり訛ってインタビューしたいと思います。そのために頑張ります。よろしくお願いします」

青森県五戸町出身の中村渉さんはドラフト7位で入団。同期で1位指名を受けたダルビッシュ有選手とともにプロの世界での活躍を誓いました。しかし、けがなどもあり通算成績は2軍で3勝6敗、1軍のマウンドに上がることなく3年間で球界を去りました。

中村選手(写真中央) 同期入団には現在メジャーリグで活躍するダルビッシュ有投手も(写真一番左)

中村さんは当初、会社員として第二の人生をスタートさせますが、2016年に実家の中村畳工店を継ぐことを決意します。創業から200年を超す老舗で、中村さんは八代目店主になります。

作業をする中村さん

※中村畳工店 八代目店主 中村渉さん
「会社員をしているうちに働くということはどういうことなのか感じ始めて、その時に父の姿が頭に浮かんで自分の腕一つでのし上がっていくというところがすごい野球と共通していると思ったのでやりがいを感じた」

より多くの人に畳に触れてもらうため、今はこれまでの畳の概念にとらわれない新たな商品の開発に取り組んでいます。