今年、青森ねぶた祭で新人ねぶた師が初陣を飾ります。福士裕朗(ふくし・ひろあき)さんです。これまでは五所川原立佞武多の制作者として活躍してきましたが、作品発表の場を青森へ移し、さらなる飛躍を遂げようとしています。
青森の伝統文化を担う者として2023年、大きな転機を迎えました。五所川原市の福士裕朗さん41歳。これまでは五所川原立佞武多の制作者として活躍してきましたが、2023年は青森ねぶた祭で作品を手がけることになりました。
※福士裕朗さん「青森ねぶただもの。作りたいと思っても作れない。ありがたかったし、ぜひチャレンジしたいなと奮い立ちました」

幼いころからねぶた好きだった福士さん。1996年に地元・五所川原で立佞武多が約80年ぶりに復元されたときにも14歳でスタッフとして参加。制作から囃子まで担当し郷土が誇る伝統文化の魅力を肌で感じました。

その後、修行を重ねて2012年、30歳のときに大型立佞武多の制作も任されるようになります。デビュー作には東日本大震災からの復興と犠牲者への鎮魂の思いを込めました。

※福士裕朗さん(当時30歳)「五所川原から勇気と元気を、同じ東北人として発信したいという思いで作りました」


その後も、福士さんは勇壮な作品を作り観客を魅了。大型立佞武多を3台手がけ、さらなる活躍も期待されていましたが、その日々も新型コロナの流行で崩れていきます。祭は一時中止となり、制作体制も見直しが議論されます。これを受けて、福士さんは大型立佞武多の制作を断念せざるを得なくなりました。
そのなか、舞い込んだのが青森ねぶたの制作依頼でした。福士さんを高く評価していた青森市役所ねぶた実行委員会が声をかけてくれました。
※福士裕朗さん「(青森ねぶたを)小さい時からいつかは作ってみたいという思いはあって、厄年だけど、転機。いい転機だよね」

初挑戦の青森ねぶた、題材に選んだのは牛若丸と弁慶。祭り当日の情景を想像しながら筆を動かしますが、思わず本音がこぼれます。
※福士裕朗さん「ものが違うので、どう見えるのか」

デビュー作は、青森ねぶた祭の前に青森市で6月に開かれる東北絆まつりにも出陣。青森の魅力を発信するという大役を担うことになっています。
※福士裕朗さん「楽しさばかりではなくて、責任感・重圧感。そういうのは日に日に、ヒシヒシと感じているきょうこの頃です。青森ねぶた祭の名を汚さないようにまず1年目の制作。とにかく一生懸命がんばってやっていきたい」

福士さんは大型立佞武多での経験を糧に青森ねぶたという新しい晴れ舞台に向けて日々、懸命に手を動かしています。