この旬の味は、地域の集まりでもふるまわれています。
青森県南を代表する冬の郷土芸能、えんぶり。八戸市の中居林えんぶり組では、節目を迎えると練習を終えたあとに宴会を開いています。

この数十年間、欠かすことなく提供されてきたのが「サメのなます」です。

サッパリとした味わいは、酒のつまみにピッタリ。こうして郷土に根ざした料理を仲間と食べ、伝統文化を育んできました。

※中居林えんぶり組の人は「いまだから食材も豊富だけど昔はそんなになかったし、えんぶりの門付けもする前だからお金もないので、庶民的に食べるのはサメなますが一番多かった。せんべいを皿代わりにしてサメなますを食べましょうと伝統的に引き継いで私たちもやっています」



サメのなます、若手たちには口に合ったのでしょうか。

※中居林えんぶり組の人は「意外と美味しかった。」Q食べたのは初めて?「初めて。不思議な味」

「たまに食べるから美味しい。(食べると)えんぶりの季節だなという感じ」

こうした料理は、サメが手に入りやすいうえに安くて栄養価も高いことから青森県内で広がっていったと、郷土料理を研究している柴田学園大学短期大学部の北山育子特任教授は言います。

※柴田学園大学短期大学部 北山育子特任教授「八戸はサメが獲れるところですから、どちらかというと獲れたてを酢で締めて酢味噌で和える。津軽の場合は生の状態で食べることでなくてきちんと茹でてから。釣れたものはすべて大切に食べたと思います」

海からの恩恵を受ける青森県にはサメの食文化が根付き、多くの人に愛され続けています。
