こちらは、御年91歳、弘前市の三浦信夫(みうら・のぶお)さんです。2022年9月にマスターズ陸上の400メートルリレーで世界記録を更新したご長寿ランナーの一人です。その三浦さん、実は、日本の伝統芸能・能に50年以上携わり、指導者としても活躍しています。91歳にして二足のわらじで人生を謳歌するその秘訣とは。

御年91歳、弘前市の三浦信夫さん

弘前市の三浦信夫さん(91)は、能の流派の一つ、「観世流(かんぜりゅう)」の指導者です。弟子は14人いていまも週に4回程度、稽古をつけています。

※弟子「最初は年配だしと思っていたら先生のほうが元気で、忍耐力がすごく私がいくらできなくても、できるまで根気よく教えて下さいます」

三浦さんが能を始めたのは40歳のとき。体育の教員として高校で働く傍ら、何か新しいことを始めたいと思っていたところ偶然、自宅近くに能楽教室があるのを知り門をたたきました。

※三浦信夫さん(91)
「自分の責任で選んだ以上は気持ちに対して責任がありますから、そういうことで縁あってずっと続けられて今日に至っている」

やるからにはその道を極めるのが信条という三浦さん。めきめきと実力をつけ57歳で師範として指導する立場になり、77歳で「準職分(じゅんしょくぶん)」という重要な職位を認定されるまでになりました。

※三浦信夫さん
「認定書に恥をかかせることもできないし、いつも身を引き締める材料にしている」

その三浦さんは2022年5月に新たな挑戦を始めます。マスターズ陸上です。

※田中博男さん
「非常に我々としては力強い味方が入ってこられたので、ありがたいと思います。よろしくお願いします」

体育教員でもあった三浦さんは90歳でご長寿ランナーへ仲間入り

中学時代から陸上競技を始め、体育教員でもあった三浦さん。90歳になったのを機にご長寿ランナーへ仲間入りです。初めて練習へ参加したときはさすがに、走り終えると苦しそうな表情を見せていましたが、練習を積んで着実にタイムを縮めていきます。そして、2022年9月には、マスターズ陸上の400メートルリレーで世界記録更新に大きく貢献しました。


※三浦信夫さん(当時90歳)
「自分の信条としてあまり年を取っていられない。年に負けない。そういうことを念頭に置きながらすべて、日常の生活にいかしていく」

三浦さんはランナーと能楽師の二刀流

年を重ねても気力と体力は充実。能と陸上の二足のわらじを履いていますが、三浦さんは仲間と一緒に何事にも前向きに取り組んでいます。

※三浦信夫さん(91)
「人生100歳時代ですので、できたらその100歳を目指してあと8年ほどありますけどそれくらいまでは、動ければいいのかなとは思っている。生きている時間を有効に使っている」

生涯現役、三浦さんの元気の秘訣は並々ならぬ探求心と好奇心があるからなのかもしれません。

※キャスター
能楽師としても活躍しながら、90歳で新しいチャレンジ。その生き方、人生の先輩として尊敬します。三浦さんは5月に能の舞台、そして、雪が解ければ再び、マスターズ陸上と忙しい日が続くと思いますが、元気に、そして更なる活躍を楽しみにしています。