青森県内では近年、イノシシによる農作物被害が急激に増加しています。JAゆうき青森では、2025年のナガイモの被害面積は2024年の60倍以上にのぼっています。

監視カメラがとらえたのは眼だけが光り、暗闇で動きまわるイノシシの群れでした。その数は、なんと20頭以上。画面奥に映る檻には目もくれず、畑を荒らしています。

また、別の日の映像には、なにかを口にくわえたイノシシがカメラに近づいてきました。

これは、実はナガイモの「種イモ」でした。

撮影されたのは、東北町にあるナガイモの畑です。JAゆうき青森によりますと、こちらの畑では全体の4分の1ほど、約20アールで5トン分の被害を受けました。

イノシシによる被害は2025年、六ヶ所村でも深刻になっています。こちらでは、昼間にも関わらず群れで現れ、畑を荒らす姿が確認されています。

鳴海秀都 記者
「本来は、このように葉が生い茂っているのですが、被害があったところでは、全くツルが生えていないところもあります」

被害を受けた場所はツルはなく、ネットだけが残っているところもありました。六ヶ所村のこの畑では20アールほどで約5トン分が食い荒らされました。

6月~8月に多く現れたため、有刺鉄線を張り巡らしたことで被害は減ってはいますが、農家の大きな悩みになっているといいます。

JAゆうき青森 営農指導課 冨田大介 課長
「1年かけて育てるナガイモですので、それらが収穫の時にないとなると、(農家が)かなり落胆している感じも見受けられる。そのところをケアしていかなければならない」

JAゆうき青森では、上北地方の4町村を管轄していますが、2025年のナガイモの被害は約250アール、すでに2024年の60倍以上にのぼっています。

JAゆうき青森 営農指導課 冨田大介 課長
「今年になって、かなりの面積の被害が出て、今後この地域で営農を続けられるのかというのが(農家は)一番心配している」

県内でイノシシによる農作物への被害額は2018年度はゼロでしたが、昨年度は1367万円にまで増え、深刻な問題となっています。

県は冬場、とくに太平洋側で積雪が減っているため、岩手県側からイノシシが北上し、青森で繁殖が進んでいるとしていて、各自治体に「わな」の設置を指導するなどして対策を強化する方針です。