「見舞金制度」を導入しているのは全国ではなく…
求められる遺族に寄り添った支援

ここからは取材した三嶌亮二 記者とお伝えします。
河村庸一 キャスター
被害者や、その遺族は突然の事件・事故に巻き込まれて憔悴するなかで、やはり周りからの支えが大切になるんですね。

三嶌亮二 記者
はい。田代さんの場合は息子を事故で亡くしたあと、何もする気がなくなってしまい、仕事を辞めるということにもなってしまいました。その一方で、全く予期していなかった『子どもの葬儀』そして『メンタルクリニックへの通院』、加害者に対する『民事訴訟費用』などが急にふりかかって経済的な負担が重くのしかかったといいます。
河村 キャスター
心理的な部分はもちろんですが、経済的な負担も本当に重くのしかかるわけですね。

三嶌 記者
犯罪被害者支援条例ができた自治体は、被害者や遺族の経済的な負担の軽減を図ろうと、見舞金制度を設けている自治体もあります。多くの自治体では、見舞金について遺族には30万円、大けがをした人には10万円というような内容になっています。それだけが支援の全てというわけではありませんが、田代さんもそのような制度があれば負担は随分軽くなると話しています。

三嶌 記者
警察庁によりますと、2025年に入った時点で青森県内で見舞金制度を導入しているのは31の市町村であり、全てという訳ではありません。
河村 キャスター
全40市町村のなかで条例は全てで設けられましたが、「見舞金制度」となると31市町村ということになるんですね。都道府県単位の見舞金制度はどうなっているのでしょうか?

三嶌 記者
都道府県単位で見てみますと、47都道府県のうち、見舞金制度を導入しているのは全国21の都と県になります。このうち、実は『青森県』は設けられていない県の1つに含まれます。これに関して青森県は、経済支援の実現へ向けて検討すると話しています。
河村 キャスター
やはり遺族に寄り添った支援が求められますね。
三嶌 記者
はい。田代さんは講演の最後にこのようなことを話していました。

「普通に生活していただけなのに、誰かの手によって生活を変えられた」
「ある日前触れもなく被害に遭う、それはあなたや、あなたの家族かも知れません」
…と語りかけます。

そして…
「地域の人たちが被害者を思い、接してくれる」
「これだけでも被害者は元の生活を一歩ずつ取り戻していくことができる」
…と訴えています。