新型コロナの影響で無人の店舗がさまざまな分野に広がっています。
青森県内でもクリーニング店に、冷凍肉の販売店、そして、古着の店とことし、続々と登場しているその最前線に迫ります。

弘前市にあるコインラインドリーです。「無人店舗」と言われても当たり前のように思えますが…

※高松未由樹記者
「こちら一見、普通のコインランドリーのように見えますが、実はクリーニングの受け付けと受け渡しが24時間・無人で行える店舗となっています。」
店内には、専用の券売機とロッカーが設置されていて、店員がいない時間帯でもクリーニングの受け付けと引き取りができる県内では初めての店舗だといいます。

※ホワイト急便本社工場 一戸洋 工場長
「こちらの店は通常朝の9時から晩の8時までですが、それ以降に引き取りたいというお客さんがいらっしゃるので、その要望に応えたいということでスタートしました。」

コロナ禍で系列の店舗で営業時間を短縮した際に客からの要望が多かったため2022年5月のオープンと同時に導入しました。
利用する際は、「券売機」でクリーニングに出す服の種類や枚数を選んで精算し、会員カード読み込むと受け付けBOXが開き、そこに専用のバッグごと入れる仕組みです。
クリーニングが終わって引き渡しの準備ができると、客の携帯電話にメールが送られ、受け取るロッカーの番号と暗証番号がわかります。人手がかからない分、料金を安く設定していて、ワイシャツの場合は1枚70円と窓口より51円お得です。



※一戸工場長
「まずはお客さんに使っていただき、たくさんの人に知ってもらいらい。もしチャンスがあったら、どんどん広げていきたい。」
そして、店舗を無人にすることで出店しやすいというメリットもあるようです。訪ねたのは、9月末に八戸市にオープンした無人の古着販売店です。


※ムジンノフクヤ八戸白銀店 下舘吉典代表
「人を雇用することはなかなか今の時代で難しいなと思っていたので、まずは自分ができる業態をということで、僕も学生の頃、よく八戸で買い物していたのですが、その時の様とは非常に変わっていますので、24時間365日楽しんでいただけるお店があればと思った。」

店の代表・下舘吉典さんは、アパレル業界での勤務経験を生かして、コロナ禍でありながらも出店を決意しました。
店舗を無人にすることで、一人でも買い付けや品出しなど店の経営全般をこなせることが無人店舗の魅力だといいます。
店内には、海外から輸入したブランドの古着をはじめ、自ら買い付けしたバックや靴などおよそ1000点を取りそろえています。商品の価格は、ハンガーの色で一目でわかるようになっていて、精算する際には、飲食店でよく見かける券売機で支払います。営業を始めて約1か月、下舘さんが驚いたというのが…



※下舘代表
「店がピークを迎えるのは、夕方の7時8時、仕事帰り。第2のピーク時間は夜11時以降。あと朝の3時とか5時とかに来られている人もいるので、それは始めてみてビックリした。」
意外にも朝方に訪れる買い物客が多いことです。
※買い物客「かわいい。」
そして、客層も学生や家族連れからシニア世代まで幅広いのも特徴だといいます。店舗を無人としている代わりに買い付けのヒントを得たり客とのコミュニケーションをとったりするツールの一つとして店内には1冊のノートを置いています。
※下舘代表
「“おしゃれなお店ですね”とか“好みの洋服がたくさんありますね”とか、うれしいお言葉をいただくことが多いですし、励みにもなります。」


令和の時代は、この肉も無人の店で買えます。夜の町でピンク色のネオンがひと際目を引く青森市古川の「おウチdeお肉」は、無人で冷凍の肉とスイーツを販売する店です。
肉は約40種類ほどあり、オーナーが売れ行きを見ながら季節ごとに品ぞろえを変えています。


※おウチdeお肉青森古川店 三上浩平オーナー
「自分の手をあまりかけずに店舗運営をしたい。そういった事業の多角化という意味で無人の店舗にチャレンジする気持ちになりました。」

東京に住むオーナーに代わって商品の補充や店内の清掃は、青森市に住むオーナーの家族が週に2回ほど行っています。
※三上オーナー
「冷凍の食材を各地から仕入れて陳列することがメインの事業運営なので、かなりオペレーションが省力化されている。」


人件費を大幅に削減できるためその分、仕入れに経費を費やし、一般的な精肉店では手に入らないような商品を豊富に取りそろえるのが店の経営戦略。
その狙いどおり、一番人気は「ユッケ」だといいます。コロナ禍でさまざまな業種に広がる無人店舗。経営者にも客にもそれぞれメリットがあり、これからも進化が続きそうです。

※河村キャスター
「取材させていただいた3か所の店は、いずれも今年オープンしたということで、無人の店舗、本当に青森県内で広がりを見せていますね。」
※市川キャスター
「無人で24時間営業となると建物を借りる際に、防犯対策が課題となる場合もあるそうで、防犯カメラを複数台設置したり、窓ガラスを大きくして外から店内を見えやすくするなど工夫しているんだそうです。」