青森県内最大規模の新たな「ホタテ加工場」が青森市に完成しました。
工場は、アメリカ、ヨーロッパ、東南アジアの衛生基準をクリアでき、全体の8割以上は海外市場向けです。中澤記者の取材です。

青森県の陸奥湾で朝とれたばかりのホタテが運び込まれたのは、水産加工業「山神」が完成させた青森市で3つめとなるホタテの加工場です。

中澤美寿妃 記者
「こちらの工場では、1日およそ30トンの成貝を処理することができます」

約20億円かけて建設されたこの工場は、ホタテの加工場としては県内最大規模で、13日はテスト稼働をしました。大きな特徴の1つは、ホタテの仕分け作業です。

機械が動いて約50人の作業員、1人ずつの手元に自動で運ばれます。これまでは、従業員がホタテを40kgずつ手作業で運んでいたため、大幅な労力の削減となります。

山神 穐元美幸 専務取締役本部長
「1カゴずつ処理していたが、すごく重労働で、そこに従事させると次々に従業員が辞めていく。(ホタテが)自動的に供給されるので、男性従業員の体にかかる負荷はずいぶん軽減されると思う」

さらに、ホタテから貝柱をとったあともこれまでの工場とは異なります。貝殻、貝柱、うろ、それぞれが専用のベルトコンベアで一気に集めて運ぶことができます。

こうした効率化の徹底で1日に加工できるホタテは、新しい工場では30トンとこれまでの3倍となりました。

山神 穐元美幸 専務取締役本部長
「ここ数年、青森のホタテの数量が減少してきて、我々としても深刻に受け止めている。私たちがこれからできることは、いま水揚げがある商品に付加価値をつけて、高品質なものを提供すること」

「山神」の商品の製造能力は、これまで2000トンでしたが、新しい工場の稼働により貝柱500トン分が増えます。

特に、この工場で加工した貝柱はアメリカ、ヨーロッパ、東南アジアの衛生基準をクリアでき、全体の8割以上は海外市場向けです。

14日は、宮下宗一郎知事や関係者が工場を視察し、県産品の販路拡大へ支援する考えを示しました。

青森県 宮下宗一郎 知事
「生産現場を支えて、販路を全国だけではなく世界に向けてやっていく挑戦は、大変すばらしい。青森のホタテが新時代を迎えられるように、あと押ししていきたい」

工場の本格的な稼働は6月上旬を予定していて、陸奥湾でホタテの水揚げ量の減少が続くなか、県産品を世界へ届ける“場所”をどこまで活用できるかが、これからの課題となります。