“第三の人生”に向け 旅立つ『食堂車』

クラウドファンディングの支援者
「たくさんの方々に見てもらって、末永く保存されることを願っています」

多くの支援者からの想いと花束を受け取った梅原さんの目には、自然と涙が浮かんでいました。そして、いよいよ旅立ちの時…。ゆっくりと車両が動き出しました。

「いってらっしゃい。元気でね!」
特殊車両での運搬になるため、移動できるのは夜間の許可された時間だけです。
八戸市から約700キロ。一般道を5日間かけて走り、千葉県いすみ市を目指しました。新天地は、鉄道のテーマパーク「ポッポの丘」です。

レトロな車両が勢ぞろいした鉄道ファンの聖地でした。
引退から38年ぶりにレールにのせられた国鉄食堂車。手で押して、展示場所に運び込まれました。

これからはここで、鉄道文化の貴重な遺産として保存・活用されます。

訪れた人は
「色がかっこいい」

「自分が一番好きな、小学生から中学生によく乗った車両でついにたどりついた。本当に嬉しい。食堂車で食事をする夢を叶えたい」

保存会ではこれから食堂車を修繕して、現役時代を彷彿とさせる食事スペースとして使う予定です。

583系食堂車保存会・梅原健一代表(53)
「本当に感無量。寝れなかった。きのうは。(旧国鉄の)食堂車はほとんどないので、昭和の食堂車の文化・鉄道の産業の歴史を食堂車を見て・学んで・体験してもらい次世代につながるようにしたい」

昭和の旅に華やぎをそえた食堂車は平成・令和と時代を乗り越え、また新たな形で“第三の人生”をスタートさせようとしています。