青森県八戸市の舘鼻公園内に、2019年にオープンした「八戸市みなと体験学習館」。湊地域の歴史・文化と東日本大震災の被害を伝える施設です。
今回は、東日本大震災の記憶を振り返るとともに、この施設ならではの珍しいカフェを紹介します。

「八戸市みなと体験学習館」は海抜27mに位置しており、約600人分の食糧や水、毛布や簡易トイレなども備蓄されていて、災害時の一時避難所の役割を担っています。
東日本大震災から得た実情と教訓を広く次世代に継承し、今後の防災に貢献できる施設として、県内では初めて「震災伝承施設」に認定されています。
同館の川村昌平さんに案内してもらいました。

「震災タイムトンネル」で記録をたぐる

八戸市みなと体験学習館 川村さん
「1階は『防災学習フロア』となっていて、『震災タイムトンネル』といって、津波の状況を映像と写真と音を組み合わせて体験できるような展示をしています」

佐藤アナ
「かなり胸が苦しくなる映像ではありますが、このまま復興に向かっていく様子まで映像では描かれています」

災害の記録や復興までの道のりを見る

川村さん
「こちらのスペースは、正確に記録が残っている明治以降の八戸市の地震、津波、火事の災害を記録したものです。

八戸市で特に被害が大きかったのは明治の三陸沖地震(明治29年6月15日)、最大で38.2メートルの津波が発生しています。震度は2~3と弱かったんですけれども、八戸には3メートルの津波が到達しております」

「そして昭和8年の昭和三陸地震(昭和8年3月3日)です。こちらは八戸では震度4で、津波は4.1メートル到達しております。この地震がきっかっけで、この施設『みなと体験学習館』の前身である『八戸測候所』が開設されました」

川村さん
「さらに昭和35年のチリ地震津波。南米チリで、世界観測史上最大規模のマグニチュード9.5の地震が発生し、その約23時間後に日本に津波が到達しています。八戸では約3メートルの津波が到達したという記録があります」

佐藤アナ
「まさか遠く離れたチリで地震が起きて、その次の日に揺れもなしに津波がくるなんて…当時の方々も衝撃だったでしょうね」

川村さん
「そうですね」

川村さん
「そして東日本大震災です。青森県では死者3名、行方不明者1名という被害がありました。こちらのスペースでは当時の状況を時系列で紹介しています。

こちらには東日本大震災発生翌日から6日間の新聞の展示や、民間の方々が集めた当時の津波の映像をまとめた『津波アーカイブ』などもあり、当時の様子を知ることができます」

佐藤アナ
「リアルな資料をみると、改めて震災の記憶は風化させてはいけないと感じます」

川村さん
「そうですね。こちらは学習の場として、市内の小中学校の生徒たちも勉強に来ています」