能登半島地震で大きな被害を受けた石川県珠洲市に、岩手県釜石市出身の女性が暮らしています。自宅が被災しましたが、東日本大震災の被災から立ち上がったふるさとを心の支えに、懸命に前を向いて暮らしています。

元日の地震や津波で大きな被害を受けた石川県珠洲市。住宅の被害件数は、14日時点で1万1554棟と、石川県内で七尾市に次ぐ多さとなっています。
またこれまでに102人が犠牲となり、2人の安否が分かっていません。

「向こう側の瓦がずれてるんですけど、それをある程度と整えてくれて、やっと雨漏りは止まったんです」

珠洲市飯田町に住む浅田久美さんです。岩手県釜石市出身で、元日の地震発生時は釜石に帰省中でしたが、地震で自宅の屋根の瓦が崩れる被害がありました。
浅田さんは東日本大震災で釜石市鵜住居町にあった叔父の自宅が被災。隣の両石町に住んでいた親族は津波の犠牲になりました。

(浅田久美さん)
「(高台への)階段があるんですよ。階段上っていけば鵜住居の子どもたちが最終的に逃げた場所なんですよ。だから絶対助かるはずだったんですよ。ゆっくりでも
いいから、階段上ってくれれば良かったんですよ」

ふるさとの惨状を目の当たりにして、衝撃を受けた浅田さん。震災後、年末年始は必ず帰省するなど6歳まで過ごした釜石に、常に思いをはせています。

(浅田さん)
「やっぱりふるさとですね。幼稚園の年長までしかいないんですけど、お盆の時にお寺でやる盆踊りの風景とか、印象に強く残っている」

浅田(旧姓・長谷場)さんはかつて重量挙げの選手でした。
現役時代は全日本選手権12連覇、世界選手権3大会連続銀メダルなど、数々の偉業を成し遂げています。2000年に現役を引退後、女子重量挙げ日本代表の監督を務め、オリンピックメダリストの三宅宏実さんらを指導しました。

2012年に夫の実家がある珠洲市に子どもを対象とした重量挙げの教室を立ち上げ、現在は小学3年生から6年生まで5人を指導しています。
その傍ら、4年ほど前から、市内にある県立飯田高校ウエイトリフティング部の監督も務めています。