アメリカ議会下院は、南部のメキシコ国境からの不法移民の急増を招いたことを「犯罪」だとして、国土安全保障長官の弾劾訴追を決議しました。アメリカでの閣僚の弾劾訴追は148年ぶりです。

アメリカ議会下院は13日、本会議でマヨルカス国土安全保障長官の弾劾訴追決議案を採決し、賛成214票、反対213票の1票差で可決しました。

下院で多数を占める野党・共和党が主導したもので、マヨルカス長官が国境政策に失敗した結果、メキシコとの南部国境からの不法移民の急増を招いたことが「犯罪」にあたるとしています。

この決議案は6日にも一度採決され、共和党議員が造反して2票差で否決されていました。

しかし、その際に病気治療のため欠席していた共和党の議員が今回は賛成票を投じるなどして、1票差での可決となりました。

アメリカで閣僚が弾劾訴追されたのは、これまで1876年に一度あっただけで、148年ぶりの極めて異例の事態です。

共和党としては11月の大統領選に向けて、有権者の関心が高い国境問題でバイデン政権への追及姿勢を強調するのが狙いがあります。

バイデン大統領は、「国境問題で政治的駆け引きを続けるべきではない」と共和党を強く批判する声明を発表しています。

今後は上院で弾劾裁判が開かれることになりますが、上院は与党・民主党が多数を占めているため、マヨルカス長官が罷免される可能性は極めて低くなっています。