■「トラブルがゼロになったという意味で言ったのではない」

ただ、この旧統一教会においては、トラブルが相次いでいました。
1970年代~80年代にかけて、「霊感商法」が大きな問題に。壺や時計などといった高価な商品を買わされるなどの被害が相次いでいました。被害者が教団側を提訴し、1980年代後半~2000年代にかけて教団側の敗訴が続いていました。
このような流れの中で2009年には、教団側がコンプライアンス宣言をしています。これは信者による霊感商法の違法性を認め、法令の遵守などを宣言したものです。

7月11日に行われた会見では、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の田中富広会長も「2009年以降、トラブルはありません」などと発言していたわけですけれども、数日後の7月17日に旧統一教会はこの発言を補足するような形で声明を出しました。
旧統一教会の声明(7月17日)
「2009年以降は、信者たちのコンプライアンス遵守の結果が大きく表れているという趣旨(の発言)」
「トラブルがゼロになったという意味で言ったのではありません」
■今回の参院選も…? 月500万の予算でロビー活動か

では改めて、政界との繋がりは今もあるのでしょうか。
全国霊感商法対策 弁護士連絡会 山口弁護士
「今回の参院選でも、その前の選挙でも、特定の自民党の候補者を組織の推薦候補として応援してきた。信者組織は、動員をかけてやってきた」
実際に今回の参院選においては、第一次安倍政権で総理秘書官を務めた井上義行氏が立候補していました。井上氏は旧統一教会の賛同会員で、信者ではなく賛同しているという立場だということです。井上氏は自民党から今回の参院選に出馬していて、教団側からも支援があったそうです。井上氏は当選しています。

旧統一教会を約40年取材 ジャーナリスト 有田さん
「教団の理念・政策を実現させるために、自民党を中心とした議員たちに議員会館で信者を使ってロビー活動をしている。月500万円の予算をつけて“接待”などを行っている」
そして、このようなことも明らかになっています。
自民党の船田元衆院議員ですが、2016年に旧統一教会の関連団体が主催するイベントに祝電を送っていたことがわかりました。船田氏と旧統一教会との個人的な関係性などについては明らかになっていませんが、18日に自身のフェイスブックでコメントを残しています。
自民党 船田元衆院議員 コメント(18日)
「主催団体をよく調べずに打電してしまったようです。不用意な行動により皆様には大変ご心配をおかけしお詫び申し上げます」
「自民党消費者問題調査会長として、いわゆる霊感商法などの悪質な取り引きを取り締まる立場にあることを付言いたします」
井上貴博キャスター:
今回の事件、容疑者の動機と安倍元総理と旧統一教会の繋がりや、旧統一教会の実態というのは切り分けて考えなければいけないと思うのですけど、政治、永田町と旧統一教会の繋がりの近さというのは疑念を持ってしまうのですが、これはどう受け止めればいいんでしょうか。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
私なども取材をしていると、あそこの秘書さんは統一教会系の人ですからねとかいう話とか、あそこの議員は統一教会と結びつきがあって、よく集会に出てますよという話はよく聞きます。私も以前取材したことがあるんですけど、特に最近ちょっと気になる動きは、旧統一教会系のグループの動きとして、選択的夫婦別姓の問題、それから同性婚の問題に対して非常に強く反発をしていまして、それについて政治家、特に自民党の人たちに対して、反対ですよという活動を活発にしてるというのは、我々も取材してキャッチしてるところなんですけど。
それが、今回の事件とは直接はおそらく関係はないんですけど、井上議員に対する支援の中身なんかも、その選択的夫婦別姓とか同性婚についての反対の目的と重なってはいると思います。
井上キャスター:
政教分離の考え方は瓦解しないんですか。
星さん:
宗教団体が政治活動をすること自体はいいんですけど、宗教団体が政治を支配することは良くないっていうのが政教分離の基本的な原則なんです。もちろんキャンペーンとして政治活動、ロビイングすること自体は結構なんですが、ただこの旧統一教会の場合は、消費者問題と違法性が何回か指摘されてきてますので、その違法性に対して政治が圧力をかけるとか、もみ潰すというようなことがあってはいけないことだと思います。