石川県輪島市の山間の地域で、元日から休まず営業を続けるスーパーマーケットがあります。「被災しながらも店を開け続ける」店主の思いを取材しました。

輪島市中心部から車で1時間ほどの場所にある町野地区。多くの住宅が倒壊する中、元日から毎日営業を続ける、地域で唯一のスーパーマーケットがあります。「もとやスーパー」です。

店を経営する本谷一郎さん(75)と理知子さん(73)夫婦。1年のうちで休業日はたった1日だけ、それが「元日」でした。

もとやスーパー 本谷理知子さん
「柱が倒れてきたから、当たったら死ぬなと思ったけど、たまたま当たらなかったから大丈夫で」

自宅は倒壊しました。しかし、横にある店舗は商品が散乱したものの、なんとか持ちこたえていました。

もとやスーパー 本谷一郎さん
「電池わけてちょうだいとか、ちょっとこれもらっていくとか、買い物し始めて」

商品を求めてやってくる地元の人たちのために、地震直後から店を開けることにしたのです。

もとやスーパー 本谷理知子さん
「最初はみんなカップラーメン買いにきましたよ。(生鮮食品は)全部売れてなくなりました。あと残っているのは大根。長時間、火を使わないと料理できないから」

防犯対策のため、店に布団を敷いて寝泊まりする本谷夫婦。電気も止まり、寒さが身に堪えるといいますが、それでも地震が起きてから休むことなく営業を続けています。

もとやスーパー 本谷一郎さん
「店がなくなったら、ここに住まれる方はどうしますか。特にお年寄りとか。それを考えたら、私たちが頑張らないといけない」

取材をしている時も…。常連だった男性が地震発生後、初めて店にやってきました。男性が探していたのは、ひげそり用のクリーム。

もとやスーパー 本谷理知子さん
「これでどうだ~この印籠(ひげそり用のクリーム)が目に入らぬか。封を切ってないから。風呂場に転がっていた。500円だけちょうだい。どうも、ありがとうございます。また寄ってください。いや~また話をしにきて」

自分たちも被災者。それでも店を続けるのは「地域のコミュニティーを残したい」、そんな思いからでした。

もとやスーパー 本谷理知子さん
「これしかできないんだってば、なんかしようと思うと、うちら店のことしかできないもん」

来年の元日こそ、ゆっくり休めることを願い、夫婦は店を開け続けます。