「空中ドローン、地上ドローン、海のドローンの組み合わせは私がイメージする未来像だ」

画像認識による新型のドローンは空だけのものではないと前出のセルヒー・フレシュ氏は言う。例えば地上では、無人車両が大量の地雷をけん引して目的の場所に地雷を敷設。逆に地雷の撤去にも使える。またある地上ドローンは橋の下に潜り込み自爆。目標の橋を落とすことができる。他には砲撃機能を備え自走しながら機銃を打ちまくる地上ドローンなどなど…。

軍事アナリスト セルヒー・フレシュ氏
「あの反転攻勢の時、地雷原で死んだ兵士が多かったが、今後は兵士の代わりに地上ドローンが投入される。ドローンが重要な役割を果たすようになる。(中略)空中ドローン、地上ドローン、海のドローンの組み合わせは私がイメージする未来像だ

実際、今月ロシア艦隊のミサイル艦『イワノベツ』がウクライナ製無人海上ドローン『MAGURA』に撃墜された。まさに攻撃の瞬間、ドローン目線の映像が公開された。

敵艦の銃撃を縫って海上を突進するドローン。その性能は航続距離830キロ、最高時速78キロだという。向かう敵船体の側面には、先着ドローンの攻撃で穴が開いている。ドローンはその穴から敵艦内部に突っ込み、そこで映像は切れた。結局10隻のドローンで攻撃し6隻が命中。その後ロシア艦は内部爆発し、真っ二つに折れ沈んでいった。

英国王立防衛安全保障研究所 秋元千明 日本特別代表
「海軍を持たない国がドローンで外国の船舶を撃沈したのは、歴史上これが初めてだと思う。最初の2発で敵の機関部を攻撃して、動かなくしてから…。これはチームプレーですから…。次に側面に穴を開けてから、別のドローンがそこに突っ込んで爆発。結果として搭載しているミサイルを誘爆させて、撃沈というより…軍事的には轟沈といいますけど…非常に珍しいケースだと」

これからの戦争は(特に先進国では)なるべく兵士を死なせないようにする。その“戦争の未来像”がウクライナから始まるというのか?

東京大学先端科学研究センター 小泉悠 准教授
「部分的にそういう時代は来てる…。昔だったら敵軍の状況を監視するにしても、ほふく前進してやっていた兵の任務を今は偵察ドローンが代替的にやることができる…。(中略~兵士が足りない)ウクライナがやる一方でロシアも無人兵器を大量に投入してくる戦争になっていく…。ただ、テクノロジーで戦争が終わるかっていうとそうじゃない。戦闘のある一部は無人になる、ある一部はミサイルになる…、電子戦になるってやってきますけど…。でも最後は兵隊さんが銃剣付けて塹壕に飛び込んでいく。それは何百年も変わっていなくて、“戦争の最後の1マイル”本当に決着つける部分は人間が大きいんだろうと…。戦闘の様相は大きく変わるでしょうが、戦争の性質自体は変わらないと思う」

(BS-TBS『報道1930』2月7日放送より)