「税金で給料を貰っている人は、勤務中に選挙運動に関わるべきではない」

武部議員に限らず殆どの議員の支出の中で、最大となっている私設秘書の給料。
選挙の為ではなく、広く地元の声を聞き、政策に生かすために一定の人数は必要と議員は言う。だが“すわ選挙”となれば、秘書全員が一心不乱に勝つために動くのが実情だ。

ところが、アメリカでは議員の政策立案の為に動く秘書(補佐官)は選挙スタッフとは完全に別だ。下院議員一人当たり22人まで補佐官を持て、その費用は税金で賄われる。一方選挙スタッフは候補者が献金を集めその中で賄う。専門家は言う。

アメリカNPO『選挙法律センター』ケドリック・ペイン副理事
「公費は選挙に流用できない。選挙運動と政治活動は完全に区別されている。公費で雇われる議員補佐官は選挙の寄付の勧誘、選挙用資料の作成、選挙運動に関する電話をかけることもできない」

但し、議員補佐官でも勤務時間外に選挙活動を手伝うことは自由とされている。通常朝9時から夕方5時まで補佐官として本来の業務をした後、例えば6時から選挙活動に参加することは可能だ。だが選挙活用の事務所は政治活動の事務所とは別の場所だという。

アメリカNPO『選挙法律センター』ケドリック・ペイン副理事
「公費を選挙に使わせない理由は“利害の衝突”を避けるためだ。公費で働く人は国民に奉仕するのが仕事。もし彼ら選挙運動への献金者に奉仕するなら政府は国民から信頼をなくす。税金で給料を貰っている人は、勤務中に選挙運動に関わるべきではない。(中略)議員補佐官が選挙運動に夢中になり、国民が必要とするものを提供しなければそれは税金で働く公務員の役割を失うことになる…」

選挙に日本とは比べものにはならない巨額の金がつぎ込まれるアメリカ。すべてが参考になるとは限らないが、政治不信を払しょくできるのは議員自らしかないのだから何かしら形で国民に見せることは必要だ。

(BS-TBS『報道1930』2月6日放送より)