安倍晋三元総理が銃撃され死亡した事件で、逮捕された山上徹也容疑者は「母親が宗教にのめりこみ、多額の寄付をして破産したので、恨みがあった」という趣旨の供述をしているということです。こうしたことをめぐり、7月11日(月)に宗教団体の「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」の田中富広会長が会見を開きました。
会見の中で団体は、山上容疑者の母親について「教会員であり、月一回程度の行事に参加している」「破産したことは知っているが、詳しい経緯はわからない」「高額献金を要求したかどうかは記録上一切残っておりません」などと説明。また、安倍元総理との関係については「友好団体が主催する行事に安倍元総理がメッセージを送ったことはある」「(安倍元総理が)会員や顧問になられたことはない」などと話しました。約1時間に及ぶ会見の全容です。
7月11日に行われた約1時間の会見
「私は宗教法人「世界平和統一家庭連合」会長の田中富広です。本日参院選直後お忙しい中、記者会見に駆けつけていただき、心から感謝申し上げます。まずは安倍晋三元首相のご逝去の報に接し、心からの哀悼の意を表するとともに、ご冥福をお祈り申し上げます。この度の蛮行は決してあってはならない行為であり強い憤りを感じております。日本の国民が尊敬し愛する偉大な指導者を失い、大変胸が痛みます。到底起きてはならないことが起きてしまいました。宗教指導者の1人として、このような重大な結果が生じてしまいましたことを大変重く受け止めております。さて、今回の事件の容疑者である山上徹也氏の供述内容の一部が警察によって発表され、特定宗教団体に対する恨みが動機となっているという報道がなされました。この特定宗教団体が当法人ではないかという噂が広く流れるとともに、一部メディアでは当法人の実名入りでの報道がなされました。それを受け、当法人としての公式見解を発表する必要があると感じ、この度の記者会見を開かせていただきます。当法人が知りうる限りの事実を述べさせていただきます。第一に山上徹也容疑者は、当法人の信者ではございません。過去においても、当法人の信者であったという記録は存在しておりません。第二に、山上徹也容疑者の母親は当法人の教会員であり、これまでも1か月に1回程度の頻度で教会の行事に参加してまいりました。第三に山上徹也容疑者の犯行の動機や、一部メディアで報じられている献金問題に関しましては、現在警察が捜査中であると思われますので、この場での言及は避けさせていただきます。これに関して警察からの要請があれば全面的に捜査に協力させていただきます。最後にメディアの皆様にお願いがあります。報道に際しては正確・公正・客観的な取り扱いの上、事実に反する内容、憶測に基づいた記事を出されることがないように、当法人に関することを書く前には、事前に直接取材をして情報を得てくださるようにお願いします。取材に対しましては、誠意をもって対応いたします」
―――寄付金について信者に多額の寄付を強いるなどの仕組みは?
「献金となるものは 色んなものがある。月齢献金とか礼拝献金とか、あるいは献金されるときに牧会者が一緒に祈祷することもあるし、無記名献金もある。このように献金にはいろいろな種類がある、ご本人の意思で献金されているが、額はご本人の心情に基づいて献金されていると受け止めております」
―――ノルマは?ひとりで高額な献金は?
「高額で献金されてきた方はかつてもいらっしゃいます。このような方々の本人の意思なしに高額献金もでませんので感謝して志を受け止めています。それからご本人に対するノルマという扱い方はしていません」
―――献金に関して、破産したことを知ったうえで、それでも献金を求めることはあるのか?会見の参加者の限定については?
「破産されているということをこちらが知っていた立場で、さらに献金を願う、あるいは要求するということはありません。そういう指導はしておりません。今日の参加者限定についてですが、この会見を開いたのもそこに重要な問題点を考えているからです。一つは犯人の動機の解明がなされ切れていない中で、様々な憶測が飛びかうことは、本人ご家族、ご親族の心痛を察すれば極力控えてもらいたいという思いがあります。警察は宗教団体の実名をまだ発表されておりませんが、メディアの一部の中では、当法人の名前を全面に出して報道をしている事実もございます。昨夜並びに今朝、私どもの法人の数か所の協会に心無い電話がありました。あるいはメディアからの心無い言葉も取材攻勢を受けております。そういう信徒たちを守っていくのも法人の責任者としての責務であると感じていますので、今回はそれなりに信頼できるメディアの皆様に来ていただきました。もちろん今回ご招待できなかったメディアに関しても今後、今回の事件に関して質問や取材要請がありましたら、個別に対応をさせていただきたいと考えております」
―――破綻を知ったうえで献金指導はしていないということだが、そういう報告を受けているということか?
「このご家庭が破綻された諸事情は私どもも把握しておりません。現場に問い合わせてもなお当時のことをわかっている方もおられなくて、把握しきれていないのが現状です。ただ破綻をされていたということは知っております。その後この家庭に高額献金を要求したかどうかは、記録上一切残っていません」
―――安倍元総理との関係、いつからどのような?
「私たちの友好団体が主催する行事に、安倍元総理がメッセージ等を送られたことがございます。安倍元総理は韓鶴子総裁が主導され、多くの世界の指導者と共に推進されていらっしゃる世界平和運動に対しては賛意を表明してくださっておりました。ただ宗教法人「世界平和統一家庭連合」の会員として安倍元総理が登録されたこともありませんし、また顧問にもなったことはございません。明確にそこは申し上げておきたいと思います」
―――どういったきっかけでいつから安倍元総理と関係を?
「当法人が主催団体でかかわったものがないので友好団体に直接聞いていただくしかないかと思います。もし聞いていただけるならば、UPF=天宙平和連合という組織がございますので、アプローチしていただいたらと思います」
―――UPFから安倍元総理に何か協力したことは?
「UPFのほうはわかりませんが、教団としては一切ありません」
―――UPFと統一教会との会員が重なっている部分は?
「我々の教団の会員で、どなたがUPFの会員かは掌握していないので答えられないです」
―――統一教会として安倍元総理の政治、演説時の動員など協力した事実は?
「安倍首相に関してはありません。政治運動に関しては、友好団体の平和連合から協力依頼があって、することはあったとしても、安倍首相に関してはございません。こちらが組織的にやることはないので、各個人が要請を受けとめて応援していることはあるかもしれないが、それでも安倍首相に関することは聞いたことはありません」
―――奈良の演説で聴衆の中に結構統一教会の人がいたという話があるが動員は?
「よくわかりません。もし教会員がたくさんいたということであれば、安倍元総理の応援でなく、地元の候補者の応援だと思います。協会としてありませんが、個人として支援団体になって応援している可能性はあるかと思います」
―――旧統一教会と岸信介氏との関係については?
「いわゆる私たち法人との関係というよりは、創設者・文鮮明総裁らの推進する平和運動に強く理解を深めてくださっていたと私は理解しています」
―――理解をしたうえでどのような関係か?
「家庭連合とですか?深くかかわっていないと思います。ただ平和運動の方でかかわっている可能性は、友好団体に確認をしたいと思います」