能登半島地震では、多くの飲食店も被害を受けています。こうした中、金沢市のパン店が店舗を貸し出し、飲食店を支援しています。7日からは、七尾市のフレンチレストランが営業を始めています。

こちらは金沢市長町のせせらぎ通り沿いのパン店「ひらみぱん」です。普段は朝から夕方にかけてパンとビストロの店として営業していますが、能登半島地震を受けて夜の時間、店舗を無料で貸し出しています。

7日からおよそ1週間にわたり、こちらで夜の間のみ店を開くのは七尾市のフレンチレストラン「ひのともり」です。東京出身のオーナーシェフ・日野貴明さんが能登の魅力に惚れ込みコロナ禍の2021年5月に店をオープン。地元の魚を使ったフランス料理が評判で、コロナ禍はテイクアウトに力を入れるなど工夫を凝らして乗り切りました。

ひのともり・日野貴明オーナーシェフ(2022年)
「コロナ前に飲食店をやっているわけではないので、これから右肩上がりになっていく。前向きに頑張りながら来年もすごしていきたい」

このおよそ1年後、元日の地震が店を襲い皿がおよそ50枚、ワインの瓶なども割れるなどし大きな被害を受けました。


こうした中、金沢市の「ひらみぱん」が被災した飲食店を後押ししようとキッチンや客席など店をまるごと貸し出すことを決めました。日野さんは、夜の営業に向け7日の午後から仕込み作業を行いました。


ひらみぱん・平見高広さん
「手応えみたいなものがあれば明るい方に一歩ずつ進んでいけるんじゃないかと思いますのでそういった手助けができればと思っています」

ひらみぱん・平見高広さん

訪れた客は…
「以前ひのともりの料理を食べてすごく美味しかったので、また行きたいねと話していたが、震災もありインスタでいろいろな活動を見ていたが今回このように金沢で食べられるというのを聞いたのでぜひ来たいなと思って予約しました」

ひのともり・日野貴明オーナーシェフ
「食材は基本的に能登のものを中心に使っています。僕としてはいつまでも被災地でいたくないという思いがあり、飲食店としてご飯を作ってお客さんに喜んでいただくという日常を少しずつ取り戻していく。そういう輪がこれからも広がっていけばと思っています。今はまだ断水が続いているので通水次第徐々にお店も再開できればと思っています」

7日に提供された前菜

「ひのともり」の営業は今月12日までの6日間で、すでに全ての日程で予約が埋まっています。そして、「ひらみぱん」では当分の間、店舗の貸し出しを行うことにしていて希望する店はインスタグラムで相談を受け付けているということです。飲食店同士、仲間の思いが能登を後押ししています。