シリーズ「現場から、」です。能登半島地震で被害を受けた江戸時代創業の石川県珠洲市の酒蔵は、1か月で商品化できた「復興の酒」に再生への思いを込めます。

宗玄酒造 八木隆夫社長
「ここはもともと駐車場。ここの奥にも駐車場がある。その中には車10台ほどが現在も埋まっている」

押し寄せた大量の土砂に埋もれる車。大きな酒樽も転がったままです。

さらに、被害は酒蔵の中まで…

宗玄酒造 八木隆夫社長
「先ほど見えていた土砂が流入した窓がこちら」

また、瓶詰めされた日本酒が並ぶ貯蔵庫の中は、ガラスの破片が散乱し、酒の香りが漂っていました。

宗玄酒造 八木隆夫社長
「こういう発泡もの、これはもう商品にはならない」

1768年創業で“奥能登最古”と言われる酒蔵「宗玄酒造」。

酒蔵の特徴ともいえる廃線のトンネル内で貯蔵された日本酒は、一定の温度と湿度の中で熟成され、まろやかで深みある味わいとなります。

しかし、その酒も…

宗玄酒造 八木隆夫社長
「何千本か入っている、数千本。自然災害だからどうしようもない」

土砂に埋もれてしまいました。

建物の損壊や、出荷する予定だった商品など被害総額はおよそ2億円に上るといいます。

そんな状況にあっても、震災から数日後には酒造りの再開を決意。水道や電気などの設備が整わない中、もろみを酒かすと清酒に分ける搾り作業は、社員が手作業で5日間ほどかけて行いました。

困難な状況でも、日本酒を売り続けるのには八木社長のある思いが…

宗玄酒造 八木隆夫社長
「相当な被害もあるが、珠洲の宗玄のような会社があって、興味があって関わりたいという方がいれば、そういう方がこちらに来ていただけるきっかけになるかなと」

1日、宗玄酒造では、出来上がった日本酒を1000本限定でオンラインで販売を始めました。

そして翌日、酒蔵を訪れてみると…

宗玄酒造 八木隆夫社長
「おかげさまで、販売30分ほどで完売しました」

1000本がわずか30分で完売したということです。

宗玄酒造 八木隆夫社長
「私も想像していなかった。本当に全国の皆さんが、宗玄のこと、珠洲市のことを考えていただいている表れだと思って、本当に感謝しています」

地元の復興を願い再開した酒蔵。多くの支援を背に着実に一歩一歩、歩みを進めています。