きょうで発生から1か月となる能登半島地震では、道路の寸断が救助や支援活動の大きな妨げになりました。道路は救助や復旧の要ですが、国土交通省・北陸地方整備局が災害時での道路の復旧計画を定めていなかったことがわかりました。

輪島市 坂口茂 市長
「何よりも、道路の復旧が遅かったのは非常に残念」

今回の地震では、道路の寸断が救助や支援活動の大きな妨げになりました。

能登町にあるこちらの道路は、崩落して使えない状態です。また、町の幹線であるこちらの道は、通れるようになるまでおよそ3週間かかりました。

能登町 大森凡世 町長
「道なかったら救急搬送もできませんし、救急車に乗せたけど戻ってきたケースもあった。救援・支援物資を届けるにしても、とにかく時間がかかっちゃう」

能登半島地震の犠牲者のうち、222人を対象にした警察庁の調査では、死因が低体温症や凍死とされた人は32人。救助の遅れが死亡につながった可能性は否定できません。

一方、珠洲市では、いまだボランティアを受け入れられていません。その理由について、市長は…。

珠洲市 泉谷満寿裕 市長
「道路がまだ危険な状態であるのが1つ」

住民は…。

珠洲市の住民
「一番は道路だと思う。小さな道路が1本崩れることによって全部が変わっちゃう」

救助や復旧の要となる道路。しかし、今回の能登半島地震では意外な事実が判明しました。国土交通省・北陸地方整備局が災害時での道路の復旧計画を定めていなかったのです。

これは「道路啓開計画」と呼ばれるもので、災害発生時での道路復旧の手順やルートなどを定めたもの。国の「防災基本計画」では、国や県などの道路管理者が協議会を設立するなどし、道路啓開計画を策定すると定められています。

減災・復興支援機構 木村拓郎 理事長
「被災した道路をいち早く使えるようにするのが道路啓開。その計画を事前に作っておくのは必須」

全国で策定が進む中、北陸地方整備局では計画も協議会も作られておらず、総務省は去年4月、策定を進めるよう勧告していました。

能登半島では去年5月にも震度6強の地震があったにもかかわらず、なぜ作られていなかったのか…。

北陸地方整備局(取材に対し)
「各県と協議会設立に向けて調整しているところだった。計画は未策定だったが、速やかに道路啓開に着手し、ルートを確保した」

一方、国とともに道路管理者とされる石川県。計画が作られてなかったことについて知事に尋ねたところ…。

石川県 馳浩 知事
「道路啓開計画を作っていなかった細かい経緯については私は存じませんので。(Q.知事としては策定されたか、されていないかも知らなかった?)道路啓開の計画が北陸地方整備局でどのようになっていたかという情報は、私はまだいただいていないということです」

災害時の道路の復旧計画を作っていなかった国と、把握していなかった石川県。災害に対する備えが問われています。