被災地では津波や建物の倒壊などで車を失った人も多く、またタクシー会社も大きな被害に遭っています。
この中、地域の足を支えるため震災後、石川県輪島市に移住しタクシー会社でドライバーとして勤務する女性がいます。
スズ交通運転手 田中昇さん「1台津波で流されて、1台は会社の壁の崩落でガラス割れたりして動けません」

ガソリンの給油施設も被害にあい、燃料補給が難しいため、1台のタクシーを数人の乗務員が交代で運転しているといいます。
一方…
鳳南タクシー安澤美佳さん(47)「工事の場所が毎日変わるから、迂回路が毎日変わるんですよ」
輪島市門前町のタクシー会社で運転手をする、安澤美佳さん。

タクシー乗車するお客さん「はーい、お願いします。運転手さんは門前の人?」
安澤さん「あのー、門前の人じゃないですけど。最近門前の人になりました」
お客さん「あー、最近門前の人に」
実は安澤さん、埼玉県に住んでいましたが、いてもたってもいられず、震災直後に石川県へ。
輪島のタクシー会社に就職し、住民票も輪島にうつしたのです。
安澤美佳さん「防災士になってからはいつもアンテナ張ってたところがあるんです。ドライバーが被災して出勤できない状態だったり、避難所で生活しているので、私がここにいる必要があるって思いました」
もともとタクシー運転手の経験があり、介護士や防災士の資格も持つ安澤さん。
病院への送迎や買い出しなど“被災者の足”として活躍しています。

28日は旦那さんのお見舞いに行く女性を輪島市の自宅から隣町のバス停まで送迎しました。
安澤さん「いってらっしゃい」
お客さん「ありがとうございました。ありがとねー」
安澤さん「あーよかった、ほっとしますねー」

当初は、車中泊をしながら生活していた安澤さん。
今は事務所の倉庫で生活しているといいます。
安澤美佳さん「(タクシーが)命綱なんですよ、移動手段の。足がなかったら買い物すら行けないっていう。これは私が死ぬ覚悟で働かなきゃいけないって、行った先々でできることを見つけて、(何か)させてくださいってことを伝えたいって思いました」