個人の幹部の意向によって左右されないために…

――そもそも派閥ってなくなったらどうなるのでしょうか。

(武田氏)どこの会社だって派閥はあるでしょう。なくすことはできない。私は本来岸田総理の言うべきことは、「派閥はなくせません。ただ、今回は派閥の問題でこことここが悪かったからこれは改善します、非常に厳しくします」っていうのが誠意ある対応で、あたかも派閥がなくなるかのような言い方は総理大臣も他の議員についても、非常に無責任な発言だというふうに私は考えます。

 私(武田)が取材した話では、岸田さんと麻生さんが食事しましたね、あそこで岸田さんは麻生さんに謝ったわけです。「派閥の解消なんて勝手にぶち上げちゃって申し訳なかった」と。政治だから「その代わりに」って、今回の政治刷新本部での取りまとめは、麻生さんと茂木さん、派閥の親分2人におまかせしますという取引があったわけです。だから、取りまとめ案は玉虫色で何か納得いかないなというふうになったというふうに私は聞いています。

(佐藤ゆかり氏)(派閥がおかしくなったのは、)やっぱり総裁選を意識してです。派閥というのは、総理総裁を出す派閥だ、という意識が、自民党どこにでもありますから、なかなか派閥で人事権を掌握しているものを手放したくないというのはあると思います。そのため適材適所から離れた発想になっていく。

 ここはやはり政党というものを、きっちりとガバナンスを利かせて個人の幹部の意向によって左右されない、そういうリスクがあると優秀な人も政治に入ってこなくなりますから、左右されないガバナンスを確立するっていう意味で「政党法が必要」だと私は考えています。

◎佐藤ゆかり:前衆議院議員 高村派・二階派に所属 衆議院議員3期・参議院議員1期を務める 関西学院大学フェロー 民間シンクタンク代表取締役
◎武田一顕:ジャーナリスト 元TBS記者 元JNN北京特派員 中国情勢に精通 小渕内閣以降の歴代政権を取材 愛称は「国会王子」