派閥解消とは “金”と”人事”に「関与しないという方向性」
ーー宏池会(=岸田派)の解散を岸田さんが決められたというのに対して「元々その政治資金の記載のところの問題だから、別に派閥を解散してもどうか」「これはもう自分の責任放棄ですり替えだ」っていう人もいますし、「派閥を存続する」っていう人もいます。岸田さんはなぜ突然解散を決められたのでしょうか?
加藤元官房長官:
政治刷新本部、私もできる限り出て、そこでの総理の発言も全部出ていないので一部、聞き漏らしたものもあります。ただ後からもフォローさせてもらいましたけれども、そこで総理が言われたのは、やっぱりこの宏池会でこういうことがあった、それに対する“けじめをつけなきゃいけない”ということをおっしゃっておられますから、ある意味、宏池会で政治資金規正法違反があり元会計責任者の方が略式起訴されるこういうことがあったので、それに対するけじめということで解散したんだという説明をされていたというふうに思います。
派閥を存続するという、その派閥って何ですかっていうところがポイントだと思います。派閥の解消としてよく言われる人事と金から切り離すべきではないか。これ実は、確かリクルート事件等があってですね、平成の最初の頃に自民党も政治改革大綱を決めさせていただいて、その中にも派閥解消、そのとき実は小選挙区の話も入ってくるんですけれども、そうした議論があり、それをやっぱりそのことをちゃんと私たちが守ってきたのか、その認識をしていたのかっていうこれはやっぱり課題としてありました。それにおいて、しかも今回派閥がこういうことを起こしたということで、やっぱりお金の問題から派閥は切り離されるべきだと。
それから(派閥が影響を及ぼしているといわれる)人事の話は今回出てるわけじゃなくて、別途従前からあった話ですけど、そういうことでその二つから、もう派閥は関与しないっていう方向性を打ち出そうとしてるわけですね。だから、私たち平成研もそれを踏まえて、これからあるべき姿をしっかり議論していかなきゃいけないと思っています。

ーー派閥を解消しなくても人事とお金っていうところをきちんとやらないっていうふうに決めれば、派閥そのものもこれから変わっていくという感じですかね?
加藤元官房長官:
だから人事とお金をやらないのは、もう派閥じゃないっていうことなんじゃないでしょうかね。ですから必ずこの議論するときに、やっぱり人が集まればそこにはグループが集まるし、そしてそれが一つの運動のコアになる場合もあります。それは別に民主主義というか一つのシステムだし、それを否定すべきものでは全くない。それ何が良くて何が悪いかっていう意味において、まさに「お金は扱わない」「人事には関与しない」っていうことで手を引いた、それを守るっていうことがまさに政策グループで、それでもやるっていうのは派閥だとすれば、私達はもう派閥じゃなくなるっていうことに当然なりますよね。
安倍派幹部の立件見送り “政治家としての責任”は?

ーー安倍派幹部の立件見送りに関しては、あれだけたくさんのお金を自分の手元に残しておいた人が何もいわれないのはどうですかね?茂木幹事長がおっしゃる「政治的責任」というのは、ほとんど説明なさっていないですよね?
加藤元官房長官:
だからそこは(政治刷新本部の中間とりまとめ案の)文章の中にもありますけども、まずその関係者における明確な説明責任をしっかり説明してほしいと。それは何でこういうことが起きたのかとか、そういうことを説明してほしいと。それに加えて政治責任のあり方についても結論を得ていくと書かれており、また岸田総理も23日、「政治責任のあり方については党として結論を得ていきたいと思います」という話をされています。そういった意味でどういう形で、これは法律的なものと、政治的なものと当然あります。いわゆる監督責任も含めて、それをどうしていくのかっていう話は、これから党の中で議論されるんだと思います。
「派閥」がなくなって・・・自民党はどうなる?
ーー今後の自民党ってどうなるんでしょうかね?派閥がなくなって、バラバラになるのか、どういうふうなシステムにするのか、そこら辺で自民党はぱっと大きく変わるのかどうか。
加藤元官房長官:
イメージは私も中選挙区時代は議員ではなかったので、役所にいたりとかそういう形でしか見てませんが、やっぱり中選挙区時代は、派閥が占拠してたんですよ。その頃の自民党は派閥連合体という要素が結構強かったと思います。ただ小選挙区になって、派閥の機能がずいぶん変わってきたと思います。
例えば振り返っていただいて、第2次安倍政権って派閥で作られたわけじゃないですね。それから菅政権もそうですね。ついこの間までそういう運用をしていた。それから実際、例えば私どもの派閥で言えば、派閥が全員まとまってこの総裁で行こうなんてことはこの間ないです。それぞれみんな他の派閥もそうだと思う。結構それぞれが判断の中でやってるわけですね。だからそういったふうにやっぱり変わってきてるし、変わっていかなきゃいけない。
だから今回もう一つ契機として変わっていかなきゃいけない。また新しい政策集団があって、これからの政治をきちっと成す一つの要素となっていかなきゃいけないと思いますけどね。














