宮城県内は24日から予想以上の大雪となりました。25日朝は雪かきに追われたり、車の運転に苦労したりした方も多かったことと思います。

25日朝は雪の積もった坂道を登れなくなる車も(仙台・太白区)

実は宮城県内はちょうど1年前の2023年1月25日も大雪となった所があり、積雪は仙台で10センチを観測しました。この日はとにかく寒さが強烈で、最高気温が仙台で氷点下3.0度までしか上がらず、気仙沼では氷点下5.5度と観測史上最も低くなりました。

2023年1月25日、仙台は雪が降りしきり、午前9時の気温は氷点下7.0度と強烈な寒さだった

この時と今回の事例を比べると、気圧配置は同じような西高東低の強い冬型でしたが、寒気の強さが違いました。1年前の雪のピーク時、宮城上空5500メートルの寒気は氷点下42度くらいと記録的に強く、仙台の気温は氷点下7度くらいでした。一方、きのうの雪のピーク時は、上空5500メートルの寒気は氷点下39度くらいで、仙台の気温は0度前後とみられていました。ともに1年前より「高い」ことから、平地ではそれほどの積雪にはならないとみていたのですが、気温は予想通りで経過したにもかかわらず実際には仙台で1年前を上回る13センチの積雪を観測しました。

24日夜の宮城上空の寒気は氷点下39度くらいだったとみられ、かなり強いが1年前よりは弱かった

ここで改めてデータを見返してみると、地上と上空との「気温差」がカギになっていた可能性があります。前述の地上気温と5500メートル付近の気温の差を計算すると、1年前は35度ですが、今回は39度と、1年前より大きくなりました。天気予報で、夏に「大気の状態が不安定」という表現をよく聞きますが、これは地上と上空との気温差が大きいことを表していて、こういう時は雨雲が発達し、雷雨や大雨が起こりやすくなります。今回も気温差によって大気の状態が少なからず不安定になったものとみられ、隣の山形県内では24日夜、雷も観測されていました。

24日夜のレーダー画像。山形県内に雷を伴った活発な雪雲がみられる(気象庁ホームページより)

このように発達した雪雲が宮城にも流れ込んだため、予想以上に積雪が増えたものと考えられます。今回のように地上気温が0度前後と極端に低くはなくても、上空との気温差が大きい時は思いがけず大雪になる可能性がある、という教訓を今後に生かしたいと思います。